五輪観客数上限決定は6月に先送り コロナ変異株流行で先行き不透明「無観客覚悟」

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)、東京都の小池百合子知事(68)、丸川珠代五輪相(50)、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長(44)による東京大会に向けての5者協議が28日、行われた。当初、今月中に方向性を示すとしていた国内観客の上限については、6月までの決定として先送りされた。感染力が強いとされる変異株の拡大を受け、従来の感染防止策を強化する方針で合意した。

 バッハ会長は冒頭あいさつで、この日合意したコロナ対策をまとめたプレーブック第2版の発表を前に「リスクを最小化し、日本国民に安心してもらえる五輪になる」と強調し、改めて開催への揺るがぬ姿勢を示した。

 ただ、肝心なことは決めきれなかった。この日の協議では、4月までに方向性を示すとしていた国内観客の上限については変異株の流行により先行きが不透明なことから、6月までに決定を先送りすることを決め、チケット購入者は直前まで観戦できるかどうか分からないままの状態が続くことになった。橋本会長は「無観客になるという覚悟も持っている」とした上で「状況が許せば皆さんに見ていただきたいという希望を持っている」と複雑な心中を明かした。

 感染対策は大枠が固まってきた。大会に参加する選手らに、これまでは最低4日に1回としてたウイルス検査を原則毎日することを確認した。来日する選手と大会関係者には、出国前の96時間以内に2回の検査を要求。大会関係者の公共交通機関の使用は原則不可とした。海外選手は入国後14日間の自主待機期間中も行動範囲の制限や健康管理を条件に入国初日から練習を認め、入国後3日目の検査による陰性確認を条件に試合に参加できる。

 ただ、国内世論の支持は著しく低迷しており、いまだ開催に向けて予断は許さない。組織委が日本看護協会に看護師500人の確保を依頼したことも、さらに反発を招いている。橋本会長は「医療従事者の皆さんの協力がなければ、開催は難しい。体制を整えていけるように準備したい」と、説明した。バッハ会長は「日本国民はへこたれない精神を持っている。それは歴史が証明している。逆境を乗り越えてきた。五輪も乗り越えることが可能だ。開催できれば皆が勝者だ」と呼びかけたが、果たして…。

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