大相撲春場所で３度目優勝と夏場所（５月９日初日、両国国技館）で２１場所ぶり大関復帰を決めた照ノ富士（２９）＝伊勢ケ浜＝が１９日、都内の部屋で関取衆と約１５番取って調整した。稽古後取材に応じ、「場所休み終わって、ちょっとずつ汗を流すぐらいの感じ。いつも通りに。できることはやってます」と、淡々と話した。

　先日、競泳の池江璃花子が白血病から復活して東京五輪代表に内定した。大関も両膝負傷に加え、重い内臓疾患を乗り越えて史上最大のカムバックを果たしており、より一層、感激した。

　「すごいなと思いますよ。けがしているより病気の方が怖いことなので。けがで死ぬことはないけど、病気で死ぬことはたくさんありますから。そういった意味で、病気の怖さというのは体で感じた。自分の中で。（池江は）相当な努力をしたんだなと思います」と、思いやった。

　他競技からの刺激も多く受ける。「もちろん水泳と、あと最近のゴルフの松山とかそういった同世代の方たちが頑張っているのは刺激になりますし」と、マスターズを制した松山英樹にもしびれた。

　最近はＹｏｕＴｕｂｅで人間劇場ドキュメンタリー「土俵の青春」という動画を見て刺激を受けた。「片手がなくて、片手だけで相撲を取っている中学生のドキュメンタリーを見て、そういうのも、この体でも一生懸命相撲を取っているのを見ると自分もという気持ちになりますし」と、語った。

　目指すは角界の最高位。「今までの中で経験したことがないのは一つだけ。経験しなきゃ分からないことも。だからこそ１回は挑んでみて、できたらできたで、できなかったらできなかったで、やり切れたと最後に自分で満足できるような終わり方をしたい。結果を出せば横綱になるし、結果を出さなければ横綱になれないし。それだけのことですから。頑張って頑張って、できなかったら自分が頑張りが足りなかったということ。それだけですね」と、意気込んだ。