古賀玄暉 涙の親子V 父稔彦さん7度制した大会でオール一本勝ち

 「柔道・全日本選抜体重別選手権」(4日、福岡国際センター)

 男子7階級が行われた。先月24日に53歳で死去したバルセロナ五輪男子71キロ級金メダリストの古賀稔彦さんの次男、古賀玄暉(げんき・22)=旭化成=が男子60キロ級に出場し、3試合をオール一本勝ちで初優勝した。父が過去7度制した大会で悲願の親子Vを果たし、世界選手権(6月、ブダペスト)代表にも初選出。24年パリ五輪代表争いへのスタートラインに立った。

 かつて日本中を熱狂させた「古賀」の名前を再び頂点に上げた。尊敬する父との別れから11日。古賀稔彦さんの次男・玄暉は天国にささげる悲願の初優勝を遂げると、こらえていた涙と父への思いをはき出した。

 「うれしい気持ちが一番。(父に)何も恩返しできずに亡くなってしまったので、何としても優勝したい気持ちで戦った。(父は)試合の合間にいつも連絡をくれていたので、それがないのは寂しかったが、覚悟は今まで以上に強くなっていたので、最後まで勝ち切ることができた」

 決勝は竪山将(パーク24)との技の応酬になり、延長に突入してからも6分が経過したが、千載一遇のタイミングで肩車を放ち、技ありを奪取。勝利を宣告された瞬間は虚空を見つめたが、畳を降りるとあふれるものが頬を伝った。

 強く優しかったヒーローがこの世から去っても、体の中に流れる“平成の三四郎”の血が体を突き動かした。父の死だけでなく、大会前の練習中に左膝を負傷。「今までなら欠場も考えた」という状態だったが、「出る覚悟があるなら優勝を目指せ」という父の教えが背中を押してくれた。「通夜や告別式の日も、父に『試合に向けてやることをやれ』と言われている気がして1日も欠かさず(準備を)やった」。

 悲しみや苦難を執念に変えて臨んだ畳で、初の世界切符も手にした。「まだ全然(父への)恩返しになってないが、今回少しでも勝って良かった。1戦1戦勝ちながら、最終的に五輪の金メダルという目標を迎えたい」。偉大な父への挑戦はまだ始まったばかりだ。

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