羽生に悪夢ミス連発「すごい疲れた」3位…来季へ前向く「4回転半をきれいに決める人間に」

 2位の鍵山優真(左)と3位の羽生結弦(右)。中央は優勝したネーサン・チェン(AP=共同)
 男子で3位の羽生結弦のフリー(ゲッティ=共同)
 男子で3位の羽生結弦のフリー=ストックホルム(ISU提供・ゲッティ=共同)
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 「フィギュアスケート・世界選手権」(27日、ストックホルム)

 男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)1位で4年ぶりの王座奪還を目指した羽生結弦(26)=ANA=はジャンプが乱れ、フリー4位の182・20点、合計289・18点で3位に終わった。初出場でSP2位の鍵山優真(17)=星槎国際高横浜=はフリー190・81点、合計291・77点で2位。SP3位のネーサン・チェン(米国)は4回転ルッツなど全ジャンプを着氷し、フリー222・03点、合計320・88点で大会3連覇。SP6位と出遅れた宇野昌磨(23)=トヨタ自動車=はフリー3位と巻き返し4位。日本は上位2人の順位合計が「13」以内となり、来年の北京五輪出場最大3枠を獲得した。

 冒頭から二つの4回転が乱れたのはもちろん、得意のトリプルアクセルにまで狂いが生じ、普段は見られないミスを連発。両手を天へ突き上げたフィニッシュポーズを解くと、羽生は思わず顔をしかめた。得点、そして3位という順位を確かめても淡々と。険しい表情を崩さず、悔しさをかみ殺し、勝者へと拍手を送った。表彰式では深々と礼をし、銅メダルを胸に、懸命に笑顔を浮かべた。

 「すごい疲れました」と羽生。「練習でもあまりこういうパターンは出なかった」といい「一気にバランスが崩れていった感じ。その中で、自分の平衡感覚、軸をうまく取り切れていなかった」と振り返った。

 これまでも、思うように演技を見せられない試合が続き「戦うのが疲れた」と思った時期があった。その時考えていた「試合」への向き合い方に共通点を感じたのが、「天と地と」で演じる戦国の最強武将・上杉謙信だった。「彼の中にある、戦いへの考え方や美学、犠牲があることへの葛藤…。悟りの境地まで行った上杉謙信公の価値観と似ているのかなと思って」。自身の思いを氷上で、演技に重ねた。

 これでチェンには3連敗。日本男子に国際大会で敗れたのは、14年11月のNHK杯以来だ。ただ、敗戦の先に羽生はいまだ世界で誰も成功していない大技クワッドアクセル(4回転半)の成功を描いている。演技後「誰よりも早く4回転半を公式(試合)できれいに決める人間になりたい」と力強く言った。今大会へ出発する3日前まで練習に打ち込んでいたという夢の大技。4回転半の成功こそ、今の羽生の心を支えるパワーの源だ。

 演技は乱れたが「ほんのちょっとずつ崩れていっただけ。練習で頑張ってきたことや、注意してきたことはできたと思う」と前向きな言葉も発した。「氷に乗れていること、家族、いろんな方が健康でいられることの幸せさを感じながら、来季へ向けて過ごしていきたい」。全てを糧にここまで歩んできた。だからこそ、後ろは向かない。

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