「大相撲春場所・８日目」（２１日、両国国技館）

　ついに実現した令和の人気業師対決は関取最小兵１６８センチ、９８キロの十両炎鵬（２６）＝宮城野＝が宇良（２８）＝木瀬＝に押し倒され２敗目（６勝）を喫した。互いに持ち味の低い攻めで探り合い。引き技で呼び込み、土俵外に飛んだが、必死に残してもつれた。

　物言いが付き２分以上の協議の末、軍配通りに相手が勝ち名乗り。「いや、もう負けたなという感じ。もう一番はないかなと思いますし、もう一番やっていても結果は同じと思う。負けは負けですね。完敗です」と悔いはなかった。

　幕内で大活躍する宇良を見て、あこがれていた。自身のプロ入りにも影響。プロ初対戦に「正直ちょっと足ががくがくでしたね。緊張しちゃいましたね。そうですね。うーん、やっぱり宇良関にしか持っていない雰囲気というか、すごいものがありましたね。ちょっと浮き足立っていたかな。舞い上がっちゃいましたね」と、圧倒された。

　互いに低い攻めを持ち味とする攻防も見応えがあった。「相手より低くいこうと思っていました。立ち合いから流れというか、攻め方的にはよかったのですけど、最後はたいて引いてしまったというのが自分の弱さというか、まだまだだなというところですね」と炎鵬は振り返った。

　名前を呼ばれる際の拍手も大きかった。ファンも注目の特別な対戦。「負けはしましたけど、楽しかったですね。もっと正直、相撲にならないのかなと思っていた。思ったより自分の力が通用する部分も多少あった。それは少し収穫かなと思いますね」と語った。

　アマチュア時代、西日本学生で対戦している。押し出されて自身が敗れた。「覚えています。大学１年の時、１回だけ。やっぱり、その１回きりだったので、もう１回やりたいなというのはずっと思っていた。こうして実現できたことがまず自分自身うれしいことですね。うーん、やっぱり今でも昔から見る目というか、すごいなというのは変わりないですし、結果としても、また今回負けているので、まだまだ強くならないといけないと思いますし、まだまだという感じがしますね」と精進を誓った。

　炎鵬は１９年夏場所から幕内を維持し、最高位は東前頭４枚目まで上がったものの、昨年春場所から４場所連続で負け越し先場所、十両に陥落した。先場所は兄弟子の横綱白鵬が新型コロナウイルスに感染した影響で全休。今場所、２年ぶりの十両土俵に立ち、１場所での幕内返り咲きを狙う。