松田瑞生が独走V「うれし涙を流したかったけど…」2時間21分51秒 名古屋ウィメンズ
「名古屋ウィメンズマラソン」(14日、バンテリンドームナゴヤ発着)
両腕を挙げて、笑顔でゴールした。その直後、号泣した。東京五輪代表補欠の松田瑞生(25)=ダイハツ=が強風の吹くコンディションの中、2時間21分51秒(速報値)で優勝した。自己ベストに4秒及ばなかった。松田は22キロメートル過ぎでペースを上げ、並走していた佐藤早也伽(26)=積水化学=をジリジリと引き離した。時折ペースメーカーに並びかけるほどの積極的なレースを展開。独走に持ち込んだ。後半になってさらにペースを上げてフィニッシュした。
涙ながらに、優勝インタビューを受けた。「去年の自分を超えられず不甲斐ない走りに終わってしまって申し訳ありませんでした」と謝罪した。ゴールテープを切って、山中美和子監督と抱き合って泣いた。「悔しかったです。うれし涙を監督と流したかったんですけど実力が足りず、まだまだ邁進しないといけないと思いました」と話した。
松田は昨年1月の大阪国際女子マラソンで自己ベストとなる2時間21分47秒で優勝。東京五輪代表の有力候補となったが、昨年の名古屋ウィメンズで一山麻緒(ワコール)が松田のタイムを上回る2時間20分29秒で優勝。代表は一山に決まり、松田は補欠となった。
悔しい思いから1年。「自分を超えることが第一前提だった」とテーマに掲げていた。東京五輪代表を逃し「スタートラインにたつことが怖くなった」という、どん底の状態から練習を再開。「競技を続けなかったら良かったと思った日々が続いたんですけど、たくさんのかたの応援や励ましがあっていまの自分があると思います」と苦しんだ1年を経ての、この日のゴールまでの道のりを振り返った。
2月のびわ湖毎日マラソンで日本記録を更新した鈴木健吾(富士通)の存在も刺激になった。「健吾は友達なので、すごくうれしい気持ちもあった。自分ももっと頑張らないとという強い気持ちを与えられた」と話し、「周りがあっと驚くような走りを自分もしたい」と友に続く快走を描いてスタートラインに立っていた。
「はい上がる自分の姿を見て少しでも周りの人が前向きになってくれれば」走る姿を通して、伝えたいものがある。ゴール後は、山中監督に「過去の自分を超えられず、ごめんな」と話した。目標はまだ高いところにある。