３場所連続休場から再起を期す大相撲の横綱白鵬（３５）＝宮城野＝が２１日、東京・両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古に参加し、大関朝乃山（２６）＝高砂＝との三番稽古（同じ相手と続けて何番も取る）で１７勝３敗と圧倒した。豪快投げに足技、立ち合いの張りも連発し大暴れ。４日連続で相撲を取り右膝の回復に心配はない。進退の懸かる初場所（来年１月１０日初日、両国国技館）へ順調そのものだ。

　大関貴景勝らが欠席し、関取はたった７人となった“お寒い”合同稽古もなんの、白鵬が熱く燃えまくった。「順番的にはね」と、予定通り、同じ右四つの朝乃山を指名した。

　二番相撲、速攻で寄り切られ闘争スイッチが入った。がっぷり組んでは鮮やかに投げを打ち、何度も巨漢を土俵にたたきつけた。

　ギアは全開となり、立ち合いで右から左から強烈な張りを連発。蹴手繰りでも相手を崩した。自身が寄り切られた後に朝乃山を投げ飛ばし「あー、くそー」と悔しがるなど、独壇場だった。

　前日は綱とりに挑む貴景勝を１３勝２敗と一蹴。「まあ、それが役目」と２日続けて若き大関の壁となった。初日から幕内阿武咲、小結高安と肌を合わせ、４日連続の実戦。８月に手術した右膝にもう不安は感じさせない。

　「（合同稽古）後半にふさわしい良い稽古。組んでよし、離れてよし。立ち合いから流れを作って対応できるというのを意識した」と満足げに振り返った。

　大関の実力も評価するからこそ本番を見据え全力でねじ伏せた。「（朝乃山の出足は）十分、前からあった。番付が上がったことで体重も増え、重さもあった。一つ失敗というか隙があるとこうなる（寄り切られる）わけだから。それは大関として立派」と三つの負けに気を引き締めたのはさすが第一人者だ。

　先場所後、横綱審議委員会から鶴竜（陸奥）とともに史上初の「注意」決議を下され、初場所に進退を懸けて出場することを求められた。厳しい立場などどこ吹く風。最強横綱は元気いっぱいだ。