ライバル丸山を得て闘志の才能も開花させた阿部一二三

 「柔道・男子66キロ級東京五輪代表決定戦」(13日、講道館)

 世紀の一戦を制したのは阿部一二三(23)=パーク24=だった。五輪代表選考で日本柔道史上初となる一騎打ちのワンマッチで17、18年世界王者の阿部が、19年世界王者の丸山城志郎(27)=ミキハウス=と24分にも及ぶ死闘を大内刈りで延長優勢勝ち。女子52キロ級の阿部詩(20)=日体大=と日本柔道初のきょうだい代表を決めるとともに、来夏の金メダル獲得に向けてようやくスタートラインに立った。

 ◇  ◇

 この4年間、阿部のほとんどの試合を見てきたが、今までで一番の闘志を感じる戦いだった。目は獣のようにぎらつき、ピンチの局面でも声を出して動き続けた。不安視されたスタミナも切れる様子はなく、コロナ禍で調整が難しい中でも高い集中力で準備してきたことがうかがえた。

 最終決戦に向けて周囲には「死ぬ気で戦います」と強い覚悟を口にしていたという。苦境だった最近2年も不安や痛みを表に出さなかった。昨年4月に脇腹を痛め、6月の合宿では報道公開中に足首を痛めるアクシデントもあったが、心配する周囲を「大丈夫」と一蹴。負ければ終わりのGS大阪でも「勝ちますよ」と言い続け、丸山に一矢報いた。

 豪快に相手を投げる天才として語られがちだが、丸山という好敵手を得て、闘志という才能も開花したように感じる。(デイリースポーツ柔道担当・藤川資野)

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