クライミング五輪代表問題2年越し決着 選手翻弄の末、男女代表2人目は原田と野中に

 日本山岳・スポーツクライミング協会は12日、国際スポーツクライミング連盟(IFSC)に対して、東京五輪出場基準の解釈変更などを求めたスポーツ仲裁裁判所(CAS)への提訴が棄却されたため、男子の原田海(21)=日新火災=と、女子の野中生萌(23)=XFLAG=が五輪代表に内定したと発表した。最終的に19年8月に行われた世界選手権の日本人上位2人に決定した。五輪延期もあり、1年以上の間、選手は翻弄(ほんろう)される形となった。

 1年以上の間、選手を翻弄し続けた五輪代表選考を巡る前代未聞の泥沼劇が、ようやく幕を閉じた。請求を棄却された日本協会は「力及ばず、我々の請求が入れられることはありませんでした。選手をはじめ関係者の皆さまを長期間にわたり不安定な状況に置いてしまったことについて深くおわび申し上げます」と謝罪した。

 各国・地域から五輪に出場できるのは男女とも最大2人。日本協会は国際連盟の当初の方針を基に選考基準を策定し、世界選手権で日本勢最上位だった楢崎智と野口を代表に決め、2人目は同選手権を含めた予選対象大会の結果を踏まえて候補選手から決めるとした。しかし、国際連盟は解釈を変更し、2人目は原田と野中で確定とした。出場基準で食い違いが生じたため、日本協会は19年11月にCASに提訴していた。

 それぞれ立場が宙に浮いた選手は、精神的に不安定な状況に追い込まれた。国際連盟の解釈では内定となる野中が「いいかげんにして欲しい。ストレスは常に感じてる」と、怒りをにじませる場面もあった。日本協会の解釈では、五輪予選で枠を獲得した男子の藤井快、楢崎明智、女子の伊藤ふたば、森秋彩にも代表入りのチャンスが残されており、12月26、27日の複合ジャパンカップ(愛媛)が代表決定戦となる予定だったが、残酷な形で夢は絶たれた。

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