阿部詩、兄・一二三の勝利「信じるだけ」 男子66キロ級13日に五輪代表決定戦

 柔道女子52キロ級で東京五輪代表の阿部詩(20)=日体大=が8日、都内で行われた代表合宿に参加し、練習後にオンラインで取材に応じた。兄の阿部一二三(23)=パーク24=と丸山城志郎(27)=ミキハウス=の新旧世界王者が一騎打ちで争う男子66キロ級五輪代表決定戦(13日、東京・講道館)が今週末に迫る中、「信じて応援するだけ」と兄の勝利への祈りを込めた。

 日ごとに増してくる緊張感-。兄一二三が最終決戦に臨む“12・13”を5日後に控える中、阿部詩が改めて胸の内を明かした。

 「強い覚悟を持って挑まないとできる試合ではない。自分に置き換えると、その覚悟はつくれるかなと。今までになかったことなので、選手として2人を尊敬しています」

 日本柔道史上前例のない直接対決での代表決定戦。想像を超える極限マッチとなることが想定されるだけに、同じ柔道選手として丸山に対する敬意も表する。それでも兄に対する気持ちは不変。無観客のため会場には入れない見込みで、テレビ画面を通して応援することになりそうだが、「最後まで見守り続ける。妹として、家族として、しっかり応援したい」と力を込めた。

 兄が地元神戸の道場に通い始めたことがきっかけで自身も柔道を始め、一番身近な存在であると同時に、憧れの選手として背中を追ってきた。今年はコロナ禍で一緒にトレーニングする機会も増加。「男女の差もあるが、走るのも追いつけないし、改めて兄はすごいなと」。言葉は交わさなくとも、柔道に打ち込むことで無言のエールを送ってきた。

 自身は2月のグランドスラム・デュッセルドルフ大会以降、実戦から遠ざかっているが、来年1月予定のマスターズ大会(ドーハ)への出場意欲を表明。「試合勘を取り戻し、自分の柔道をできればいい」と来夏に向けた再始動を意気込んだ。

 きょうだい五輪制覇という夢に向けた一大決戦はもう間近。まばたきもできない一瞬一瞬に精一杯の念を送りながら兄の一挙手一投足を目に焼き付ける。

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