【振付師・宮本賢二の解説】高橋大輔がアイスダンスデビュー 22年五輪への第一歩

 フィギュアスケート男子からアイスダンスに転向した10年バンクーバー五輪銅メダリスト、高橋大輔(34)=関大KFSC=が今季、村元哉中(27)=同=とのカップルで公式戦デビューする。GPシリーズ・NHK杯(27日~29日、東和薬品ラクタブドーム)に出場し、目指す2022年北京五輪への第一歩を踏み出す。世界トップに上り詰めた高橋の新たな挑戦を、アイスダンスの元全日本王者で人気振付師の宮本賢二氏(42)がわかりやすく解説する。

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 高橋選手のアイスダンス転向は驚きとともに喜びがありました。アイスダンスは大人になってから始めても楽しめるもの。全国の競技者の刺激になるでしょう。

 彼が元来持つ華やかさ、スケーティングの美しさ、明確なターンは素晴らしい武器になります。人の目をグッと引き寄せる演技力、表現力、持っているストーリー性もピッタリではないでしょうか。

 新たな挑戦にはもちろん課題もあります。まずはリフト。これまでアイスショーでカップルを組むことはあっても、見せるリフトとレベルと点数を取るリフトは複雑さが違う。使う筋肉も変わります。女性を持ち上げる時は、腕や肩ではなく太ももや足の裏でしっかり踏ん張って上げる。彼の下半身は元々かなり強いのですが、そこからさらに必要な筋力をつけていくことになるでしょう。

 また、シングルでは自分でジャンプのコースやタイミングを変えられますが、アイスダンスでは互いにアイコンタクトで理解することなどが必要です。リフトを降ろす時も、ホールドした手で相手の筋肉に力が入った、抜いたと感じることでタイミングを計ります。これらは、練習を重ねて乗り越えていくことになるでしょう。

 目指す五輪は次シーズンに迫ります。2人の息の合った演技を競う競技ですが、カップルのキャリアの浅さは一概に不利だとは言えません。長く組んだカップルにはあうんの呼吸もありますが、そんな安定感とは違うフレッシュな化学反応が起こることもあります。

 村元選手はシングル時代から華やかさを持ち、ステップも身のこなしも素晴らしい。アイスダンスに転向してさらにそれがよくなりました。高橋選手とはどちらも魅せる選手です。最初は互いの個性がぶつかるのではとも思いましたが、2人とも見せ方をわかっている選手。化学反応は確実に起こるでしょう。

 実際に最近、練習でプログラムの一部を見て想像以上の上達に驚きました。心配していたリフトもとても複雑なもので、遠心力がかかるローテショナルリフト(回転しながら進むリフト)もきっちり回りながら重心をとって動いていた。相当努力したのでしょう。

 今季初めてアイスダンスを見る方も多いと思います。ジャンプのあるシングルとは違い、アイスダンスはミスが少ないため、初めから最後まで途切れることなく見入っていて、気づいたら曲が終わっていたということも。パッと見てきれいだとか、切ない表情だとか、お芝居を見るように楽しんでほしいと思います。

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