内村航平「五輪できる」開催否定的な声に魂の叫び 偽陽性で調整不足もH難度成功

 鉄棒を終えてガッツポーズをする内村航平(撮影・堀内翔)
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 「体操・日米中露4カ国国際交流大会」(8日、代々木第一体育館)

 新型コロナウイルスの感染拡大による東京五輪延期後、日本国内で初となる五輪競技の国際大会が行われた。五輪個人総合2連覇王者の内村航平(31)=リンガーハット=は、五輪に向けて専念している鉄棒で、近年の世界選手権金メダルスコアを上回る15・200点をマーク。直前合宿中のPCR検査で「偽陽性」が出るアクシデントを乗り越え、世界に東京五輪開催をアピールした。閉会式では、五輪開催へ否定的な日本の国民に向け、熱く開催への協力を呼びかけた。

 今、ここで言わなければいけない言葉があった。来夏の東京五輪に向けた試金石の大会が無事に終了し、閉会式でのスピーチ。世界の頂点を極め続けてきた日本の五輪アスリートの“顔”として、内村だからこそ言える言葉があった。

 「残念なのは日本の国民の皆さんで“五輪はできない”と考えている人が80%いること。“できない”じゃなく、“どうやったらできるか”を考えて、どうにかできるように考えを変えてほしい」

 コロナの終息が見えない中、各種世論調査などでは中止と延期を合わせ、「来年の開催は無理」という声が8割を超えるものもある。それでも内村は「非常に難しいことであるのは承知の上なんですけど」と前置きした上で「国民の皆さんとアスリートが同じ気持ちでないと五輪はできない。どうにかできるやり方は必ずある。どうかできないと思わないでもらいたい」と、心から訴えかけた。

 演技でも魅せた。大会直前のPCR検査で1~2%の可能性である「偽陽性」と判定された31歳。2日半もの間、調整する時間を奪われたが、鉄棒ではH難度「ブレトシュナイダー」を含めた離れ技を成功させ、近年の世界選手権金メダルスコアを上回ってみせた。「夢と希望を与えることが僕たちの使命」。そのパフォーマンスには説得力があった。

 最後の会見で、スピーチを振り返り「(世論が)これじゃいかんだろ、と思っていた。この場で言わないと届かないだろうと思ったので。僕の本音をストレートに言わせてもらった。国民の支持が上がれば五輪はできる」と、うなずいた内村。この日、会場では約2000人の観客が拍手を送った一方で、周辺では大会への抗議運動も行われていた。いまだ先は見通せない来夏の夢舞台。それでも体操界の「キング」が覚悟を持って投げた一石には、心に響く確かなインパクトがあった。

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