鶴竜、稽古足らず11月場所へ不安 古巣・井筒部屋の建物解体で思い出「数え切れない」

 「大相撲11月場所」(8日初日、両国国技館)

 2場所連続休場している横綱鶴竜(35)=陸奥=が3日、調整遅れのため11月場所の出場も厳しくなってきた。朝稽古後に電話取材に応じ、相撲を取る稽古を再開しておらず「まだ足りていない」と、満足のいく状態ではないことを明かした。

 初日まで1週間を切っても、実戦のメドは立たず。「コロナになる前にいつもやってたことと比べると足りないのかな。稽古できない、他の(部屋の)力士と。(実戦は)そこまでできてないかな、来てないかなと思います。毎日胸出して、当たった感じでやってるけど」と、不安はやはり隠せない。

 先場所は腰の負傷で全休。最近6場所で皆勤は1度だけ。先場所後の横綱審議委員会(横審)では休場の多さに関し、白鵬(宮城野)とともに両横綱に厳しい意見が出た。

 次に途中休場となれば進退が追い込まれるだけに、出場は慎重に判断する必要がある。「出たときにちゃんと結果出さなきゃいけない。そういうのを踏まえて踏ん張っていかないといけないんで。8番でいいやとか、そういうのはダメだと思いますし」と語った。

 再起へ向け、葛藤する中、入門から18年を過ごした井筒部屋(東京都墨田区)の建物が解体されることも決まった。「OBの皆さんで、ちょっと寂しいなっていう感じで、やりとりはしてますけど。何とも言えないというか。本当にただただ、もう壊されちゃうのかっていう。そういう寂しい気持ちだけ」とショックは大きい。

 昨年9月、先代師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)が亡くなり、鶴竜は陸奥部屋に移籍した。稽古も日常生活も、井筒部屋が日本の家だった。「いろんな思い出がありますよ。写真や映像で残ってますけど、実際にはもうなくなっちゃうわけですから。(解体工事は)もう今週じゃないですか。もう始まるんじゃないかな」と残念がった。

 先代との思い出も詰まった部屋。「それはもう、(思い出は)数え切れないくらいありますよ。話せば話すほど、思い出せば思い出すほどいっぱいあります。(先代の教えは)消えることはないですから。自分が生きている以上、その記憶はなくなることはない」と力を込めた。

 先日、解体前の井筒部屋に行き、自身の育った家を目に焼き付けてきた。汗と涙の染みこむ土俵も稽古場も取り壊される。「そこに座っていれば、涙も出てくるんじゃないですか。座っていろいろ思い出せば」と、悲しみをあふれさせた。

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