アキレス腱断裂から復活 寺本明日香を支える村上茉愛との友情「今度は私の番」

 体操女子のロンドン、リオデジャネイロ五輪代表で、今年2月の左アキレス腱断裂から復活を目指す寺本明日香(24)=ミキハウス=が15日、オンラインで取材に応じた。徐々に演技の練習ができるようになり「運動制限のないくらいできているし、少しずつできることが増えてきてる。体がしんどい時期だけど、耐えながらやっています」と、近況を明かした。

 怪我をしたのは、東京五輪延期決定前。五輪まであと半年を切った時期だった。床の練習中に、バク転で床を蹴った際に左アキレス腱を断裂。「最初は床を壊してしまったのかと思った。でも倒れて床をみたら壊れてなくて、足をみたらテーピングがペロっとなっていて。“あっ、切れたな”と。足に痛みはまったくなかったんですけど、頭にパーンって痛みがきた。“あ、終わったな”って。東京はもうないなと思った」と、当時の状況を振り返った。翌日の手術の前、長くともに代表をけん引してきた村上茉愛(日体ク)にメッセージを送ったという。「体操人生終わるから。引退する。ごめん、任せたよ」-。

 それでも手術後、諦めないでいてくれる周囲の言葉に支えられて、五輪挑戦を決意した。お見舞いにきてくれた村上が言った。「明日香だったら絶対に辞めないと思ったから大丈夫だよ」。寺本は「やっぱり2人でやらなきゃなと思った」と、当時を振り返って笑顔を浮かべた。昨年は村上が怪我のため、世界選手権代表になれず、寺本が中心となり、五輪団体出場枠を獲得した。村上は「今度は私が支える番。何でも言ってね」と、言ってくれたという。

 その後、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、五輪の1年延期も決まった。「やっぱり(延期が)残念な選手もいるので、なんともいえない。自分としてはアキレス腱は無理をすると再断裂の可能性があるので、正直怖い部分はあった。しっかり治せるなと思った」と、率直な心境を明かした。

 目標がある。集大成となる場所で、「人生を語る演技をすること」。床の曲はフィギュアスケート男子の五輪2連覇王者、羽生結弦(ANA)が滑った「Origin」に決めている。怪我の経験を経て「さらに語るものが増えた。そういった魅力を出せる演技をしたい」。笑顔を取り戻した24歳が再び夢へと舞う。

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