“延期騒動”で綻び露呈 森喜朗会長病院飛び出し「ガソリンぶちまけ」発言の火消し

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(82)は11日、同日に同組織委の高橋治之理事が新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国内外の一部メディアに大会延期の検討を提案する考えを示したことを受け、都内で急きょ報道陣に対応し、火消しに奔走した。予定通りの開催を改めて強調したが、ウイルスという未知の脅威に直面する中、組織委内の混乱を露呈した。

 ドタバタだった。この日、米紙ウォールストリート・ジャーナルを皮切りに国内外のメディアが高橋理事のインタビューを掲載。新型コロナウイルスの影響で五輪の通常開催が難しくなった場合として「1、2年の延期が現実的な選択肢」と話した。これまで「中止、延期は考えていない」としてきた組織委。高橋理事は広告代理店・電通の元専務でスポーツビジネスにも精通した存在だけに、海外の中には公式見解と受け取るメディアもあり、混乱が広がった。

 この日、病院にいたという森会長は、急きょ火消しに奔走。報道陣には17時過ぎに案内を流し、17時半から都内で取材対応した。冒頭から「とんでもないことをおっしゃった」と不快感を表明。「(IOC)バッハ会長が言ってるが『あまり火に油を注ぐようなことは止めてほしい』と。私に言わせれば、ガソリンをぶちまけるようなことを高橋さん止めなさいよ、と」と苦笑いを浮かべつつ、批判した。

 「今、方向や計画を変えることは全く考えていない」と予定通りの開催を改めて強調。延期の場合は競技会場確保の調整が困難になることなどを指摘し「ウイルスの影響はないとは言っていないし、あると思うが、専門家が対応を考えている。2年経てば北京五輪、4年経てばパリ五輪。延ばして出来るわけではない」と説明した。

 高橋理事とは電話で話し「大変申し訳ない。ちょっと口が滑ってしまった。お詫びをしたい」と陳謝されたという。「消極的、悲観的、二次的なことは今は一切考えていないし、考えてはいけない時期」と森会長。ただ、世界が脅威にさらされ、開幕まで残り5カ月を切った祭典の開催可否にも注目が集まる中、運営する組織の綻びを露呈した。

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