朝乃山 涙の弔い星「天国に恩返しするしかない」恩師の近大・伊東監督が急死

 「大相撲初場所・7日目」(18日、両国国技館)

 新関脇朝乃山が18日未明に55歳で急死した母校、近大相撲部の伊東勝人監督に弔い星をささげた。恩師からたたきこまれた前に出る相撲で平幕北勝富士を一気に寄り切り、5勝目(2敗)を挙げた。3年前、初場所中の1月21日には富山商時代の恩師、浦山英樹先生も亡くしており、天国の2人の教えを胸に大関昇進を目指す。平幕正代が大関豪栄道に敗れ、全勝力士が消えた。トップの1敗で大関貴景勝、平幕遠藤、正代、照強、徳勝龍の5人が並ぶ。

 眠れなかったのだろう。支度部屋で朝乃山の目は赤く、放心表情で準備を整えた。まさかの伊東監督の死からたった17時間。気持ちの整理などできない。

 それでも「考え過ぎると硬くなる。監督のことは(頭から)離して相撲に集中しよう。前に前に攻めてぶち当たる気持ち」。ショックを振り切り土俵に立った。

 迷いはなかった。踏み込み鋭く北勝富士に当たると右差し。のど輪もかまわず前進。4秒2の電車道で寄り切った。大学4年間、監督から徹底的に指導されたのが当たって相手を起こして前に出る相撲。巨漢を生かした「自分の持ち味の相撲」で追悼星を挙げた。

 「頭が真っ白になった」。この日の未明1時半、近大の先輩から監督が急死したことを聞いた。近大同学年で同部屋の十両朝玉勢とともに、同2時、都内の病院に駆け付け、すでに息を引き取った監督と対面した。

 4、5日目と連敗。その際、連絡があり「お前は切り替えがうまい。チャンレンジ精神でいけ」とゲキを受けた。元気だった監督がもう帰らぬ人になり「ショックだった。頭が追い付かない」と絶句。花をささげ「お疲れさまでした。浦山先生と天国から応援していただけるようお願いします」と手を合わせた。

 富山商時代、右四つを教わった浦山先生は17年1月21日、同じく初場所中に死去。「何で…」と再び襲った悲劇に言葉は出ない。

 今年中の大関とりの大目標に今場所は10勝がノルマ。ただ成績次第では一気に大関昇進の可能性はある。7日目で5勝を挙げ、トップと1差を死守。優勝&大関を天国に届けるチャンスは十分だ。

 「落ち込んでいる暇はない。恩師が2人、旅立った。白星と上の番付を目指し、天国に恩返しするしかないと思っている」。悲しみの初場所、全力で師を弔う。

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