「フィギュアスケート・全日本選手権」（２２日、代々木第一体育館）

　男子フリーが行われ、来季からアイスダンスに転向するため今大会がシングル最後の出場となる高橋大輔（３３）＝関大ＫＦＳＣ＝は、フリー１３８・３６点、ＳＰとの合計では２０４・３１点だった。

　重厚な音楽に乗せステップを踏み出すと、冒頭の３回転フリップを着氷。３回転アクセル－２回転トーループへ続けた。３回転サルコーも着氷し歓声を浴びる。“世界一”と称されたステップでファンを魅了していく。

　単独の３回転アクセルは乱れたが、３回転ルッツからの連続ジャンプは着氷。単独の３回転ジャンプの後、最後のジャンプは倒れ込んだ。すぐ起き上がると演技はクライマックスへ。華麗な舞とスピンで締めくくった。

　フィニッシュと同時に、スタンディングオベーションがわき上がった。ジャンプのミスがあり完璧な演技とはいかなかったが、最後まで演じ切った。

　キスアンドクライでは“大ちゃん”コールに目を潤ませているようだった。長年、師事してきた長光歌子コーチに花束を手渡し感謝を表した。

　演技後は「演技自体はＳＰ、フリーともボロボロでしたし、もう少しできていたけど、最後にふがいない演技をしてしまって申し訳ない気持ち。僕自身も次に向かう気持ちになった」と振り返った。今大会に至るまでコンディションを整えることにも苦心したが、「いろんな気持ちの中で滑ってきて、調整など本当に大変な１年だったが、最後にお客さんが温かい拍手を下さって。今日までシングル最後というのが自分にとって大きなものではなかったけど、今日見てシングル引退なんだなと思ってしまって、うるっとしてしまった。こういう場から、次へ向かえることはうれしい」と感謝していた。