貴景勝10勝で大関復帰!12日目の最速到達&単独トップ 史上初同時Vもいける!

 「大相撲秋場所・12日目」(19日、両国国技館)

 右膝負傷で先場所を全休し大関から陥落した関脇貴景勝(23)=千賀ノ浦=が妙義龍を突き落として5連勝で10勝目(2敗)を挙げ、来場所の大関返り咲きを決めた。1場所での大関復帰は過去5人6例あるが、12日目での2桁勝利到達は最速。ただ1人2敗を守り、優勝争いでも単独トップに立った。大関復帰と優勝同時達成なら史上初の快挙となる。

 万雷の拍手を浴び、土俵下の貴景勝は「フー、フー」と何度も息を吐いた。「弱い自分」が出て来るたびに「負けない」と封じ込め、精神力でたどり着いた10勝目。「目標はとりあえずクリアした」と冷静にかみしめた。

 埼玉栄高の先輩、妙義龍が相手。「邪念がなかった」といつも通り頭から強烈な踏み込み。左に開いて突き落とした。電光石火の完勝。4カ月のうっぷんを晴らし地道な努力が報われた瞬間だった。

 新大関の夏場所、右膝に重傷を負い途中休場。先場所は全休を決め大関を2場所で陥落した。「力ではね返されたわけでなく出ずに終わった。大関の役目を果たせなかった」と悔しさ、情けなさを痛感した。

 秋場所を逆算。先場所後の2カ月すべてを相撲のために費やした。母校・埼玉栄高に泊まり込み、現役高校生と寝食を共にし連日、猛烈な基礎運動を行った。同校の恩師・山田道紀監督が「努力はすごい。感激した。後輩らに生きざまを見せてくれた」と言うほど、限界まで追い込んだ。

 同監督は言う。「患部付近は筋力的に8割」と右膝は完璧でなかった。「ほかの筋力は1・5倍になった。周りでカバーしてあとは精神力」。気持ちで不安を打破してきた。

 大関から陥落し「離れていった人もいた」と貴景勝。だからこそ「支えてくれる人のため」に頑張る気持ちは以前にも増した。考えに変化もあった。「うまくいかなくても2、3年、半年後に生きてくる。チャンスをつかめなくてもまたあきらめずにやればいい。引退するまで腐らずにやると決めた」。ケガが一回り大きくした。

 昨年初優勝した九州場所へ大関として凱旋が決定。2敗を死守し単独トップに立った。「(大関復帰で)満足しているようでは終わり。この3日間、精神的なものが出る。120パーセントを出せたら」。大関奪還の次はV2にきっちり照準を合わせた。

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