【野口美恵の目】羽生結弦は理想の「4回転アクセル」へ第一歩しるした

 羽生結弦
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 「フィギュアスケート・オータムクラシック」(13日、オークビル)

 男子ショートプログラム(SP)は冬季五輪2連覇の羽生結弦(24)=ANA=が98・38点で今季初戦を首位発進した。昨季と同じSP「秋によせて」は冒頭の4回転サルコーで回転不足となって転倒したが、その後のジャンプは圧巻の内容。3回転半と4回転-3回転トーループを成功するなど、高い出来栄え点(GOE)を獲得した。

  ◇  ◇

 羽生結弦にとって「自分のなかで見えている完成形」を目指す19-20シーズンが幕を開けた。

 しかしショートの冒頭で、4回転サルコーを転倒。続くトリプルアクセルは成功させた。演技終了後、すぐさま彼らしい繊細な自己分析をした。

 「4回転サルコーは、09年世界選手権を引きずって『あの時こういうミスをした』と一瞬よぎってしまいました。練習では感覚的に跳べていたジャンプだったからこそ、理論に引っ張られてしまった」

 「うまく経験を使わないと」と、次戦への自信を深めた。

 一方で理想を体現できたのはトリプルアクセルだ。羽生は昨季一度だけ「ツイズルからのトリプルアクセル」を試みた。スピンのように右足で回転しながら助走し、左脚に体重を乗せ替えて跳び、再び空中で回転軸を作る。別格の難度だ。しかし昨季、ジャッジの評価は厳しく「+5」は皆無だった。

 「思ったより点が伸びなくてやめていた。でも曲には一番合っていて、ひと味違った入り方なので、どうしてもやりたかった」

 世界でも比類のないほど難しいトリプルアクセル。今回は半数以上のジャッジが「+5」を出し、究極の技だと証明された。

 そして、これこそ彼の目指す最終兵器「4回転アクセル」に繋がる技。孤高の理想に向かって、重要な一歩をしるした演技だった。

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