【瀧本誠の真っ向勝負】素根選手は五輪で勝つには軸になる技がもう少しほしい

 「柔道・世界選手権」(31日、日本武道館)

 女子78キロ超級は初出場の素根輝(19)=環太平洋大=が決勝でロンドン五輪女王のオルティス(キューバ)を下して金メダルを獲得。昨年女王の朝比奈沙羅(22)=パーク24=は銅メダルだった。男子100キロ超級はリオデジャネイロ五輪銀メダルの原沢久喜(27)=百五銀行=が、決勝でリオ五輪100キロ級王者のルカシュ・クルパレク(チェコ)に反則負けし、銀メダルだった。

  ◇  ◇

 素根選手は重量級では比較的、体が小さい方だし、動きとしては良かったです。ただ、軸になる技がもう少しあればいいな、と思いました。

 結果だけを見れば良いのですが、五輪で同じようにやっていては勝てないでしょう。タイプが違うので比較するのは難しいのですが、(アテネ五輪金メダルの)塚田真希さんや、(ロンドン五輪銀メダルの)杉本美香さんと比べても、少しキレがありません。

 原沢選手は先に攻められませんでした。いいところを持てなかったのがすべて。柔道だけ見れば原沢選手の方が強いと思いますが、勝負所を知っていた相手の方が上でした。

 準決勝も相手が先手を取っていたし、きたところを切り返し、投げました。こちらも比較してはどうかなとは思いますが、大野将平選手のように自分から組みにいくことです。チャンピオンになるためには、ああいう柔道が理想です。

 個人戦が終わりましたが、大会前まで金メダルは男女とも3個ずつ取れるとみていました。男子は60キロ級、66キロ級、73キロ級から2個、残る階級から1個。女子は52キロ級と78キロ超級に63キロ級と70キロ級のうち、どちらか1個と思っていました。

 60キロ級の高藤選手らベテランと言われる人たちに元気がなかったという印象ですが、全体として今回に限れば良しとすべき結果でしょう。ただ優勝した選手はこれからかなり研究されますし、進化が必要。五輪ではもう少し厳しい結果になることもあり得ます。(00年シドニー五輪男子81キロ級金メダリスト、駒澤大総合教育研究部 スポーツ・健康科学部門准教授)

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