内村航平が衰えを吐露「試合に合わせる力がなくなっている」4カ月ぶり復帰戦も5位

 「体操・全日本シニア選手権」(30日、福井県営体育館)

 4カ月ぶりの復帰戦となった五輪個人総合2連覇王者の内村航平(30)=リンガーハット=は、6種目合計83・900点(床14・800点、あん馬12・600点、つり輪13・450点、跳馬14・400点、平行棒14・450点、鉄棒14・200点)で5位に終わった。世界選手権(10月、ドイツ・シュツットガルト)代表の萱和磨(22)=セントラルスポーツ=が86・100点で初優勝した。

 五輪に向けた再スタートで、現実を突きつけられた。あん馬で落下し、鉄棒では旋回が乱れた。試合後、内村は自嘲的な笑みを浮かべながら言った。「なんともいえないですね。肩も腰も痛みは少し違和感としてあった。ただ言い訳にしかならない。話にならないです。6分の2でミスしている。達成度は半分以下。話にならないです」。全日本後には「夢物語」と語った来年の東京五輪についても「う~ん。どうなんですかね。厳しいんじゃないですか」と、己の置かれた状況を素直に認めた。

 両肩に不安を抱えて臨んだ今季は4月の全日本選手権でまさかの予選落ち。11年ぶりに日本代表の座を逃した。全日本後は肩の治療に励みながら、今大会を目標に調整してきたが、2週間前にぎっくり腰を発症。万全ではない中で迎えた再起戦だった。

 1種目目の床で、復活気配は見えた。高速の回転をピタリと止める。これぞ内村という着地を決め続け、14・800点の高得点をマークした。ただ、続くあん馬では中盤の旋回が乱れ、痛恨の落下。「あん馬に関しては毎日通し練習をやってきて、自信があった」。練習で培ってきた自信が裏切られた。何よりもそれがショックだった。

 「試合に合わせる力がなくなっている」。ここ2年は度重なる怪我により、世界選手権の個人総合で演技ができなかった。世界最高峰の場で戦うことで、培ってきた勝負感は薄れきた感覚があるという。「今年に入ってからですね。全日本でもあの状態にしても、できるという感覚が以前はあった。それが今は確実にない」-。認めざるをえなかった。

 今季はこの大会が最後になることを示唆。次戦は本格的な五輪代表争いが始まる来年4月の全日本選手権にぶっつけで挑む可能性が高い。「おそらくそうなると思う」。集大成と位置付けたTOKYOへの道に、かつてない逆風が吹いている。

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