柔道男子60キロ級V本命がまさかの“共倒れ”…永山3位、高藤は鼻骨骨折疑いも
「柔道・世界選手権」(25日、日本武道館)
男子60キロ級が行われ、日本は2連覇中の世界王者・高藤直寿(26)=パーク24=と、昨年3位の永山竜樹(23)=了徳寺大職=を擁して臨んだが、そろって決勝までに敗退。3位決定戦で2人の直接対決が実現し、永山が残り1秒からの合わせ技一本で逆転勝ちし、2年連続で銅メダルを獲った。
優勝候補大本命と対抗の世界トップ2人がまさかの“共倒れ”となった。高藤は準々決勝でウズベキスタン選手に内股で一本負け。海外選手に投げられて敗れるのは、リオ五輪以降初めてだった。3回戦でフランス選手とバッティングした際、鼻骨を骨折した可能性もあるといい、26日に検査するという。
永山は五輪代表争いの形勢を逆転する千載一遇のチャンスを逃した。ライバル高藤が先に敗れる中、準決勝はジョージア選手に延長戦で自身の担ぎ技を掛けつぶれたところを力ずくで返され苦杯。3度目の挑戦でも世界一には届かず、「自分の実力不足」と赤い目で声を絞り出すのが精いっぱいだった。
3位決定戦は高藤との直接対決が実現。「気持ちは切り替えられなかったが、ここで負けたら五輪はダメだと」。先に技ありを奪われたが、「ダメ元で」と執念で掛けた隅返しで、残り1秒からの逆転勝ちで胴メダルは死守。ただ、決勝で実現するはずだった頂上決戦だけにトーンダウンを否めなかった。
日本男子の井上康生監督は「世界1、2位の実力を持っている2人だが、力を出させてあげられなかった」と沈痛な表情。東京五輪争いについては「この先も2人の勝負は続く」と次戦の11月のグランドスラム(GS)大阪大会に向けて僅差であることを示唆し、「2人はこの経験を生かしてくれると思う」と、東京五輪での金メダル獲得へ巻き返しを期待した。