新十両・魁勝、昇進はあきらめモードも…朗報に「恩返しができた」

 日本相撲協会は24日、名古屋市内で秋場所(9月8日初日、両国国技館)の番付編成会議を行い、魁勝(24)=浅香山、玉木改め朝玉勢(26)=高砂=が新十両に昇進した。

 魁勝は元大関魁皇が14年に浅香山部屋として独立してから初の関取。この日は師匠・浅香山親方の47歳誕生日でうれしいプレゼントとなった。

 西幕下4枚目で4勝3敗だったため、昇進は半ばあきらめモード。地元が愛知県西尾市で魁勝は午前中は実家でくつろいでおり、「昼ぐらいに一応、部屋に行くか。ちゃんこでも食べに」と思っていたら、10時くらいに昇進を知らせる電話。慌てて、昇進会見準備に取りかかった。

 「いろんな人から上がる、上がらないと言われ混乱していた。電話で『上がったよー』って。ビックリした。親方、おかみさん、後援会、OBの方々…、感謝しかない。地元で場所前からたくさん応援してくれた。恩返しができた」とかみしめた。

 柔道少年で高校卒業し角界入りするまで相撲は未経験。入門6年半、親方の指導の下、四股、すり足、厳しく基礎運動を徹底され、ようやく花開いた。

 弟子同様に親方も仰天。親方は昇進を判断する審判部所属で、この日の会議も当然参加。西幕下5枚目で5勝を挙げ、しかも魁勝に勝っている若元春(荒汐)に優先権があると考えており、会議で思わず「若元春じゃなくていいんですか?」と自ら疑義を投じたほど。協議の結果、魁勝(が荒鷲との“入れ替え戦”に勝っていることなどが決め手となった模様だ。

 「信じられない。部屋を持った時から早く関取になってくれたらと。1つの目標は達成できた。不器用なタイプ。相撲経験もない。よく我慢した。自分の誕生日なんて吹っ飛んだ。上がってくれたのが一番」と孝行息子に目を細めた。

 報道陣からいいところはどこか?と問われると「いいところ?」と逆質問を何度も繰り返し熟考。「安心して見られるのはもう少し。自分の形は持っている」と絞り出し、まな弟子を苦笑いさせた。

 2年程前、2回も「辞めたい」と泣きながら親方に申し入れた。相撲で結果が出ず、気持ちも切れ、とにかく逃げたかった。親方は「まだまだ。今、嫌なことは無駄じゃない。もう少し頑張ってみよう。まだやり切ってない」と説得。そこから、徐々に気持ちが落ち着き、結果が出るようになった。「辞めなくて良かった」と、魁勝は親方に感謝した。

 親方と同じ、柔道からの転向で四つ相撲が得意。怪力で大関まで昇進し5度の優勝を誇る親方を追い、スタートラインに立った。親方と同じ、柔道経験が生きるかと問われると「自分、寝技が得意だったんですよ。投げはセンスがないって」と明かして笑わせた。

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