明生、恩人栃ノ心撃破で勝ち越し 通勤つらい23歳“電車男”の“電車道”

 「大相撲夏場所・12日目」(23日、両国国技館)

 自己最高位、西前頭7枚目の明生が三役以上初挑戦で関脇栃ノ心を寄り切って、幕内で4場所連続の勝ち越しを決めた。大関返り咲きへ10勝目が懸かる相手を闘志で撃破。新大関貴景勝に続く令和新時代の星に23歳が名乗りを上げた。トップと2差でV戦線にも残った。単独トップだった平幕朝乃山が玉鷲に押し出され2敗目。横綱鶴竜が10勝目を挙げ、朝乃山に再び並んだ。3敗に後退し1差で追う栃ノ心と朝乃山が13日目に激突する。

 明生が痛烈な恩返しだ。巡業で猛稽古をいつも付けてくれた怪力・栃ノ心を電車道で撃破。強烈な踏み込みで相手を起こして左が入った。出足一気。体ごと預けて寄り切った。

 10勝なら大関に復帰する相手。その大きな星の懸かった一番で一歩も引かなかった。「土俵で向き合った時のオーラがすごい。飲まれずにもっと気合を入れようと思った。稽古を付けてもらい幕内に引き上げてくれたのも栃ノ心関。もっともっと強くなってもっともっと対戦していきたい」。感謝を込め、最高の相撲を取り切った。

 4場所連続、幕内で勝ち越した。新大関貴景勝が1歳下。「俺も行ける」と大いに刺激を受けている。自己最高位で初の三役以上に挑み勝利したのは成長の証し。令和の新星に名乗りを上げた。

 今は少なくなった中卒たたき上げ。稽古熱心な男は先輩らの目に留まる。1年前の巡業では負傷から復帰を目指す元横綱稀勢の里(現荒磯親方)から稽古相手に指名。「胸を合わして吸収するものがある」と成長につなげた。春巡業では横綱白鵬から助言も受けた。

 「負けて覚えるのも相撲」と稽古場では誰より負けてきた。「投げられる感覚を体が覚える」と令和の時代に昭和の香りがする愚直な男。V争いを混戦に持ち込み、自らもトップと2差で残った。

 部屋が茨城県つくばみらい市にあるため、両国から毎日、往復3時間かけて“通勤”。「一番つらい」と言うのが帰宅ラッシュに巻き込まれること。1時間半、立ったままで帰るのは午後7時半だ。

 この日も満員電車に乗るため急ぎ、国技館を後にした“電車男”。星を伸ばせば見えてくる新三役へ“電車道”で突っ走る。

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