羽生結弦SP3位発進 史上最大12・53点差逆転に挑む!

 「フィギュアスケート・世界選手権」(21日、さいたまスーパーアリーナ)

 男子ショートプログラム(SP)で2014年ソチ、18年平昌両五輪金メダリストの羽生結弦(24)=ANA=が94・87点で3位発進した。日本での実戦は平昌五輪後では初めて。23日のフリーで2年ぶり3度目の世界一を目指し、107・40点でトップのネーサン・チェン(米国)との12・53点差逆転に挑む。平昌五輪銀メダリストで2年連続2位の宇野昌磨(21)=トヨタ自動車=は91・40点で6位となった。

 百戦錬磨の王者の思考が停止した。羽生は直前の6分間練習で4回転サルコーを失敗。1度だけ跳び直してビシっと成功させたが、「不安材料を集めてしまった」。自分自身の実力を信じ切ることができないまま勝負のリンクに立った“過ち”が、歯車を狂わせた。

 冒頭の4回転サルコーが2回転になり「頭が真っ白になった」と羽生。その後は演技をまとめたが「ごちゃごちゃいろんなことを考えすぎてしまったかなと言うのが本音。自信を持って、もっと王者らしくいないとダメだなと思った」と悔しさをかみしめた。

 昨年11月のGPロシア杯の公式練習中、4回転ループの着氷時に転倒し、右足首のじん帯を損傷。12月のGPファイナル、全日本選手権を欠場した。試合のリンクに立つのは、負傷を押して強行出場したロシア杯フリー以来。ケガの影響や試合勘の不足は否定したが、124日ぶりの実戦が、どこか王者を浮き足立たせた。

 首位チェンとの差は12・53点。16年にフェルナンデス(スペイン)が12・04点を逆転した例もあるが、史上最大逆転を目指すことになる。「得点はフリーになってみないと分からない。ただやっぱり、自分の構成をしっかりやり切って、1つ1つきれいなジャンプを決めていきたい」と羽生。誰より自分自身が挽回を信じている。

 これまで世界選手権は2度優勝。1度目はソチ五輪直後に今回と同会場で開催された14年大会で、約7点差の3位から逆転優勝した。2度目は一昨年のヘルシンキ。首位と10・66点差の5位と出遅れながらフリーで世界最高得点を更新する快演を見せ、逆転優勝を果たした。「この埼玉の地でSPで1回ミスって、悔しい思いになる世界選手権は2回目。しっかりこの経験を使いたい」と羽生。出遅れはある意味、勝利への方程式通り。「こういう時の自分の対処法は分かっている」と力強くうなずく羽生の目は、遠くに見える頂点を真っすぐに捉えている。

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