平尾さんに救われた神戸製鋼・山中 恩返しの2トライ「優勝しましたよ!」

後半38分、トライを決め吠える神戸製鋼・山中亮平(中央)=秩父宮ラグビー場(撮影・中田匡峻)
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 「ラグビー・日本選手権兼トップリーグ順位決定トーナメント・決勝、神戸製鋼55-5サントリー」(15日、秩父宮ラグビー場)

 神戸製鋼が圧勝し、トップリーグでは第1回大会の03-04シーズン以来2回目、日本選手権では00年以来18年ぶり10回目の優勝を果たした。

 開始3分にWTBアンダーソンフレイザーのトライで先制すると、終始圧倒。8トライで55点を奪い、サントリーの得点を前半18分のWTB尾崎晟也のトライによる5点に抑える50点差の完勝だった。かつて日本選手権で、7連覇の金字塔を打ち立てた社会人ラグビーの名門。チームの歴史を学び直して一体感を高め、王座を取り戻した。ゼネラルマネジャーや総監督を務め、2年前に53歳で亡くなった平尾誠二さんにささげる栄冠となった。

 表彰台の上、FL橋本大樹の手には、晴れやかな笑顔の恩師の遺影があった。

 「平尾さん亡くなる前に、優勝しようと約束していました。本当に、もう、これ以上のことはないくらいうれしかった」(橋本)

 この日、2トライをマークした山中は、絶対に返さなきゃいけない恩があった。11年にひげの育毛剤が原因でドーピング違反となった時に、解雇の危機を平尾さんが会社に掛け合って救ってくれた。

 出場停止期間中も頻繁に昼食をごちそうになり、「絶対に復帰できる」と励ましてもらった。1回戦のリコー戦で左頬骨骨折も、決勝に強行出場し、見事結果で応えてみせた。「ずっと期待してもらっていたから。平尾さんに『優勝しましたよ!』って報告したい」と、胸を張った。

 前回18年前の日本一の時の主将で、現在はチームのアドバイザーを務める増保輝則氏(46)は「長かったね。こんなに勝ってなかったかと。今季のラグビーの完成形を見せてくれた。新しい神戸製鋼を見せてくれた」と、感慨に浸った。

 平尾さんの思いにも触れ「平尾さんの夢は神戸製鋼の優勝と、W杯の成功だった。1つ叶ったね。あの人が情熱を持って作り上げてきたものを僕らが引き継ぎ、今の選手たちが継いでくれた」と、うなずいた。

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