山本草太 GPデビュー戦6位 演技中の出血に最終滑走者「戦場かな」
「フィギュアスケート・NHK杯」(10日、広島県立総合体育館)
男子フリーが行われ、2年前の大けがから復帰してGPシリーズに初出場した16年ユース五輪金メダリストの山本草太(18)=中京大=が、ショートプログラム(SP)6位からフリー138・42点、合計213・40点で6位に入った。平昌五輪銀メダリストでSP首位の宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=は183・96点で合計276・45点で、今季GPシリーズ2勝目を飾った。
16年3月に右足首を骨折。その後も骨折を再発した。3度の手術を受けた右脚はまだ過度のジャンプ練習がこなせないだけに、試合ではジャンプへの集中力が問われていた。フリーでは冒頭のトリプルアクセル(3回転半)が1回転になったが、続く2本目を3回転半に変更。1・83の加点がつく出来栄えで成功した。「2本目に集中してできた。1本目に決めたかったので悔しかった」。即座のリカバリーは「次につながると思う」と18歳は笑顔を見せた。
アクシデントも乗り越えた。演技中に右手を負傷。最終滑走のボロノフ(ロシア)が「アイスが血だらけで戦場かなと思った」と言うほど出血していた。踏みきりミスや最後の連続ジャンプが1回転になるなどのミスはあったが、長いリハビリを乗り越えての大舞台に「こういう試合に出られて幸せ」と喜びを口にした。
平昌五輪代表入りも視野に入っていた中での大きな苦難だった。「この舞台に立ちたいがために少し焦って遠回りした。もっともっと結果を出したい。もっとやりきりたかったな」というのも本音だ。ただ、一時は引退も考えるほど苦しんだ。今大会で得た「楽しめた」という手応えは、何よりの収穫だ。