日大・宮川選手、顔出し謝罪 追いつめられ「やらない選択肢なかった」

 5月6日のアメリカンフットボールの定期戦で悪質なタックルを行い、関学大の選手を負傷させた日大3年の宮川泰介選手(20)が22日、都内の日本記者クラブで記者会見した。井上奨コーチを通じて内田正人前監督(62)から指示を受け、思い悩んだ末に拒否できず、精神的に追い込まれた状況で指示に従って反則行為に及んだことを告白した。また、試合後に個人として被害者側に謝罪しようとしたものの、前監督から止められていたことも明らかになった。

 重い口を開けた。宮川選手は丸刈りでスーツに濃紺のネクタイを着用し、緊張した面持ちで報道陣と向き合った。「ケガをさせてしまった関学大選手、ご家族、アメフット部、関係者の皆さまに大きな被害と多大なるご迷惑をお掛けし申し訳ありませんでした」。約25秒間、深々と頭を下げた。

 悪質タックルの背景に内田前監督からの指示と、従わざるを得ない部内の空気があったことを告白した。定期戦の1週間前から出場機会を失いつつあり、井上コーチ経由で「監督が『相手QBをつぶせば出してやると言っている』」と伝えられたという。

 「コーチから伝えられた言葉は『つぶせ』という言葉だったが、『秋の関学大との試合で相手QBがケガをしていたら得だろう』という言葉もあり、ケガをさせるという意味で言っているんだと認識していた」

 これまで日大側は「指導者と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていたことが問題の本質」と説明し、反則行為そのものを指示したわけではないと主張していた。しかし、宮川選手は葛藤の末に「相手QBをつぶしにいくので使ってください」と伝え、前監督も「やらなきゃ意味ないよ」と言った。

 さらに、試合前の整列時に井上コーチから「できませんでしたじゃすまされないぞ。わかってるな」と念押しされたという。「そういう(相手を負傷させる)意味で言われている以外に捉えられなかった。その1週間で追い詰められていたので、やらないという選択肢はなかった」と自省した。

 内田前監督は絶大な権力者で「直接話せる機会もほとんどなく、意見を言えるような相手ではなかった」。突然、大学日本代表から辞退するよう迫られても受け入れるしかなかったという。

 問題後は不信感を募らせた。事の重大さに思い悩み、11日に被害者に謝罪する意向を伝えたが、前監督から「今はやめてほしい」と止められたという。その後は対応が後手に回り、混迷を招いた。「最初(11日)に両親が監督と面会した時に『指示があったことを(表に)出してほしい』と伝えていたので、出してほしいという気持ちはあった」と裏切られた心境を吐露した。

 「指示があったにせよ、やってしまったのは私。私が反省すべき点だと思っている」。最後まで自責の念を口にしたが、真相究明へ大きな一石を投じた。

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