稀勢の里が覚悟の休場 退路なし…歴代最多タイ7場所連続で批判の声も

 「大相撲夏場所」(13日初日、両国国技館)

 横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=が11日、日本相撲協会に休場を届け出た。「左大胸筋痛で約1カ月激しい運動を制限する」との診断書を提出。7場所連続休場は年6場所制となった1958年以降の横綱では貴乃花に並ぶ最長となった。2場所連続3度目の全休となる見込みで8度目の休場。進退は名古屋場所(7月8日初日、愛知県体育館)に持ち越された。

 7場所連続休場の不名誉記録に稀勢の里の名が刻まれた。午前7時10分、都内の部屋の前で囲みに応じた師匠・田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)の目はみるみる潤んでいった。

 「朝、本人と話した結果、休場します。苦渋の決断。多くの人に迷惑をかけた」

 弟子の気持ちが分かるからこそ感極まった。10日夜、師弟で30分話しても結論は出せず。この日、取組編成会議当日の朝まで出場可否は異例の持ち越しとなった。万全にはほど遠い仕上がりに結論は休場以外になかったが、師匠の説得にも横綱はギリギリまで葛藤。気持ちの整理に一晩を要した。

 「本人はすごく悔しいし、いろんな気持ちがある。治療して。体だけでなくあらゆる面を鍛えないと。横綱は強くないと。次は大事な場所になる」と弟子の思いを代弁した。

 17年春場所で左大胸筋などを負傷。重症を抱え千秋楽に奇跡の優勝を飾ったが代償は大きかった。翌夏場所からすべて休場。丸1年がたつ今場所もまた、同じように状態を合わせられなかった。

 19年ぶり誕生の日本出身横綱に“甘い見方”も変わってきた。横綱在位8場所で7度の休場となり、横綱休場率・875は1958年以降、ダントツの最下位。親方衆らは稽古不足、低い意識を指摘。「もう一度原点に戻ってやるしかない」など批判の声が続々挙がった。

 横綱審議委員会は次の出場場所に進退は問わず、万全になるまで休場を容認してきたが、次も休場し8場所連続休場となれば、限界域。この日、北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は「体調不十分であればやむを得ない。覚悟を持って次場所に備えてほしい」と厳しいコメントを残した。

 本人は次の出場場所に進退をかける覚悟を示している。次の名古屋場所で再起は待ったなし。「ケガだけじゃない。今まで以上に必死に取り組まないと。覚悟を持って」と師匠。稀勢の里にもう退路はない。

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