羽生に国民栄誉賞授与へ 五輪連覇の偉業評価“23歳最年少”受賞

 政府は、平昌五輪のフィギュアスケート男子で連覇した羽生結弦(23)=ANA=に国民栄誉賞を授与する方針を固めた。菅義偉官房長官が2日の記者会見で、安倍晋三首相が授与検討を指示したと発表した。けがを乗り越えて66年ぶりとなる2大会連続の金メダルを獲得した偉業が、国民に感動や勇気を与えたと評価した。実現すれば、スケート界で初、冬季五輪金メダリストとしても初となる。個人としては最年少での受賞となる見通しだ。

 奇跡の復活劇で66年ぶりとなる五輪連覇を果たし、日本国中に大きな感動をもたらした羽生に栄えある賞が贈られる。安倍首相が授与検討を指示したと会見で発表した菅官房長官は、「(五輪連覇は)まさに歴史に残る快挙だ。社会に明るい夢や希望を与え、東日本大震災の復興への力強いメッセージとなった」と説明。今後、有識者の意見を聴取した上で正式決定される。

 群を抜く実力もさることながら、苦難を乗り越えてきた羽生の競技人生は常にファンの共感を呼んできた。

 4年前のソチ五輪を制した後、「金メダルを取ることで活気づいてくれたらうれしい」と口にした。仙台市出身。16歳で将来を有望視されていた2011年に東日本大震災が起きた。仙台のリンクで練習中に被災し、自宅は全壊判定を受けた。体育館で4日間の避難生活を送り、「ガスも電気も水もない生活は本当に大変だった」と振り返る。リンクは一時閉鎖され、全国を転々としながら練習を続けた。世界トップレベルのスケーターへの飛躍が始まったのは翌シーズンだった。

 17年春に2度目の世界選手権優勝を果たし、追われる立場で迎えた平昌五輪シーズンも、大きな試練に見舞われた。同年11月のNHK杯前の練習で4回転ジャンプの着氷に失敗し、右足首を故障。約2カ月、氷上で練習ができず、一時は出場すら危ぶまれた2度目の五輪ではフリーで4度の4回転ジャンプを含め、ほぼ完璧な演技を披露。日本勢の大会金メダル第1号となった。その頼もしき姿は、海外メディアからも大きな称賛を浴びた。

 日本オリンピック委員会の竹田恒和会長は「けがもあって苦しかっただろうが、国民の期待に応えた。(賞に)十分値する。模範の人生を送ってもらいたい」と賛辞を贈った。史上最年少、冬季五輪の金メダリストでは初の受賞。当面の競技続行を決めている羽生にとっても、大きな励みとなるに違いない。

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