伏見工が58年の伝統に幕 現校名で最後の戦い…あと1歩花園に届かず

 「全国高校ラグビー京都大会・決勝、京都成章22-14伏見工・京都工学院」(12日、宝が池球技場)

 伝統の伏見工ラグビー部の歴史に幕-。伏見工・京都工学院が京都成章に敗れ、2年ぶり21度目の花園出場を逃した。昨年4月の学校統合により合同チームで登録してきたが、来年度以降は「京都工学院」単独チームに移行する。「伏見工」の冠を背負う最後の闘いが終わり、山口良治総監督(74)や元日本代表・大八木淳史氏(56)ら多くのOB、ファンが別れを惜しんだ。京都成章は4年連続10度目の全国大会(12月27日開幕、花園ラグビー場)出場を決めた。

 無情に鳴り響くノーサイドのホイッスルが、伝統の歴史に幕を告げた。フィールドに崩れ落ちる赤黒ジャージー。「伏見工」の名で一日でも長く-。フィフティーンの思いは、あと一歩届かなかった。

 「最後の伏見として、花園で優勝することを誓って臨んだんですが…力不足でした」。主将のロック亀川直哉(3年)は目を真っ赤に腫らし、言葉を絞り出した。

 前半は作戦がはまった。5月の京都府高校総体決勝で0-41と完敗した京都成章を相手に、本来の展開ラグビーを封印し、あえて狭いエリアでのFW戦を仕掛けた。自陣深くでもキックで陣地を取ることを選択せず、愚直に一歩ずつ、懸命に体をぶつけて前進。少しずつ相手DFラインを崩すと、WTB藤井健太郎(3年)が一気に抜け出し約70メートルを独走。ゴール前5メートルまで迫り、15分にプロップ山田洋裕(3年)が先制トライを決めた。

 7-0とリードして前半を折り返したが、後半に入ると京都成章の展開力を抑えられず2分、12分にトライを奪われ逆転を許す。その後も1トライ、2PGで7-22と突き放され、後半ロスタイムに突入した。それでも「誰もあきらめていなかった。『攻め続けよう』と声を掛け合った」(藤井)。中央での攻防から左に展開し、ラストパスを受けた藤井がトライ。最後は伏見工らしいラグビーを見せ、多くのOBやファンが駆けつけた会場を沸かせた。

 同校OBの松林拓監督は「終わってしまいましたね」と話すと、天を見上げて涙をこらえた。伏見工の名前がなくなることに「3年生は相当なプレッシャーがあったと思う。よく努力してくれた」とねぎらい、「(最後の)意地の一本が(京都)工学院につながっていくと思う」と新たな歴史を見つめた。「伏見工(の名前)がなくなっても、その思いは変わらない」と亀川主将。来年度からも継続される赤と黒のジャージーに、“伏工魂”は永遠に引き継がれていく。

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