馬越夫妻は“三刀流” 家事、育児、剣道…国体で“アベック優勝”

 9月30日に開幕したえひめ国体もいよいよ終盤。連日熱戦が続く大会から、活躍した選手を紹介する。今回は、愛媛代表として夫婦そろって出場し、見事に“アベック優勝”を果たした剣道成年男子の馬越啓輔(38)と同女子の馬越千里(34)。子育てにも奮闘しながら2人は大きな目標を達成した。

 夫婦剣士が強い絆で夢をかなえた。力を合わせ、励まし合いながら手にした“アベックV”。夫・馬越啓輔は「妻が先陣を切って優勝してくれた。自分も勝てて、ほっとしました」と安どの笑みを浮かべ、妻・千里は「夫婦で優勝を目標にしてきた。やり遂げたという思いです」と喜びの涙を流した。

 国体の剣道は成年男子が1チーム5人、女子が3人での団体戦。まずは開会式翌日の1日、女子が初優勝を果たして勢いをつけた。中堅として戦った妻・千里は、1回戦から決勝戦まで4試合全勝。見事な剣さばきでチームを引っ張った。

 「俺も続くよ」。妻に力強く宣言した夫も2日後、中堅として初戦から5試合全勝の大活躍。愛知との決勝では先鋒(せんぽう)と次鋒の勝利に続き、鮮やなコテ2本でチームの優勝を決めた。重圧から解放されると、駆け寄った妻と4歳の長女・真那ちゃんと一緒に喜びを分かち合った。

 2人は愛媛県チームのメンバーとして知り合い、2010年に結婚。13年には真那ちゃんが誕生した。母になった妻は競技を続けるか迷ったが、夫と相談を重ね「やってみたい」と産後1年で本格復帰。地元国体での優勝を目標に掲げて始動した。

 以来、真那ちゃんを連れて3人で道場に通う日々。家事や育児は夫婦で分担した。愛媛県警の機動隊で災害救助などの任務にあたる夫は、稽古を終えて自宅に帰ると掃除や洗濯を担当した。松山市の職員としてフルタイムで勤務する妻も、仕事のあとに厳しい稽古、そして家事、育児に奮闘した。

 そんな忙しい毎日を送っていたある日、真那ちゃんから聞かれた。「なんで休みの日もメンメンするの?」。父と母は「優勝するために頑張ってるんだよ。応援してね」と答えた。すると娘は少し寂しそうに「うん」とうなずいたという。

 「この国体のために、娘も一緒に頑張ってくれた。だから優勝をプレゼントしたかった」と妻・千里。夫は「たくさんの人に支えられてきた。勝つことで恩返しできたかなと思う」と話した。一心不乱に突き進んできた地元国体。祝福の拍手に沸く武道館に、家族3人の笑顔が輝いた。

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