桐生、次はアジア記録9秒91に照準 20年東京五輪へ「ここからが勝負」

9秒台の快挙から一夜明け、取材に応える桐生祥秀=福井県営陸上競技場
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 陸上男子100メートルで日本人初の9秒台となる9秒98をマークし、19年ぶりに日本記録を更新した桐生祥秀(21)=東洋大=が快挙から一夜明けた10日、改めて喜びを口にした。左足太もも裏に不安を抱える中での記録更新に、自らの「伸びしろ」を実感。東アジア最速を証明した21歳は、次なる目標としてオグノデ(カタール)の持つアジア記録、9秒91に照準を定めた。

 日本中が沸いた快挙から一夜、ヒーローはややお疲れの表情で競技場に姿を見せた。昨夜はテレビ局を回り、床についたのは午前3時。無料通信アプリのLINEには400件の通知が届き、その他のSNSにも大量に祝福のメッセージが寄せられたという。

 素直にうれしかった。「(朝の)テレビや新聞の記事を見て(9秒台を)出したんだなと実感が湧いてきました。タイムを出すと親戚が増えると言われていたけど、誰だろって人からもメッセージがきて。これか!って」と、冗談交じりに笑いとばした。

 視線の先には、すでにさらなる記録更新を見据えている。今季は10月のえひめ国体のリレーに出場して終了。その後は少し休みを取った後、冬季トレーニングに入る。この日、日本陸連は日本学生連合提供の情報を基に、9秒台を出した桐生の走りを解析。そのデータでは65メートル地点で最高速度の秒速11・67メートル。9秒台に必要とされる11・60メートルを超えた。

 これまでトップスピードは55メートル地点で記録することが多かったが、後半勝負に徹した結果、終盤に破格の伸びを披露。ストライドも伸び、10秒0台の時は100メートルで48歩だったが、47・3歩。「これに(回転の速い)ピッチが加われば、もっとタイムも伸びる」と、手応えをつかんだ。

 「ここからが勝負という思いはある。伸びしろは自分でも想像がつかないぐらいあると思ってます」。次なる“壁”となるのは、アジア記録の9秒91。「アジア記録はいくつですか?91?更新していきたい」。分厚く重い“10秒00”の壁をぶちこわした男は、20年東京五輪に向け、さらに壁を打ち破っていく。

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