稀勢の里、新スタイル挑戦 ど迫力14勝1敗も左のおっつけほぼ見せず…

 大栄翔(右)と組む稀勢の里
2枚

 「大相撲夏場所」(14日初日、両国国技館)

 3場所連続優勝を目指す横綱稀勢の里(30)=田子ノ浦=は7日、埼玉県草加市の追手風部屋に出稽古し、東前頭3枚目の大栄翔(23)=追手風=と続けて15番取り、14勝1敗と力強い動きを見せた。関取衆相手の2日連続となる出稽古で、春場所で重傷を負った左上腕部、左大胸筋の回復をアピール。一方で稽古を見守った解説者の舞の海秀平氏(49)=元小結=は「苦しんでいる」と、本場所へまだ不安があることを指摘した。

 存在だけで追手風部屋をピリピリさせた。患部の左胸から左上腕へとテーピングを巻いた稀勢の里が大栄翔を指名し、土俵に入った。いきなり「ゴン!!」とぶち当たり、左差しで豪快に寄り切った。

 「ふぉー」「しゅー」-。気迫のこもった息づかい。相手の圧力を受け止めて、豪快に何度も投げ捨てた。「もうちょい来い!!、おらあ!!」と絶叫もしながら15番。ど迫力の三番稽古を終えた。

 関取衆相手の稽古を前日に再開し、2日連続で平幕を相手に回復を確認。「いいんじゃない。痛みはない。下半身も使えている」と、また一つ夏場所出場への段階をクリアした。

右からの攻め

 一方で、代名詞の左おっつけはほとんど見せなかった。左四つに組むものの右からの攻めを意識。新たなスタイルを試行錯誤していたかのようだった。

 見守った舞の海氏は「もう少し苦戦すると思ったけど、状態はいい。必死さが伝わる」と目を細めた。ただ、左が今までのように使えない不安も感じた。

 患部の筋肉の状態次第ながら「筋肉が伸びていると、左下手だけで踏ん張れば、(左腕が)だるくなって相撲が苦しくなる。強烈な左のおっつけが、どれだけ使えるか、右をどう有効に使うかがカギになる」と口にした。

 新スタイルへの変ぼうは並大抵の努力ではできない。「完治するけがではない。悪化させないように、どう自分の相撲を変えていくかが課題。半年、1年をかけ、(患部以外の)筋肉をどう生かしながらできるか、時折つらそうな表情を見ると、かなり苦しんでいるんだろうなと思う」。周囲の想像以上に完全復活の道のりは険しいことも示唆した。

 稀勢の里は8、9日に恒例の二所ノ関一門の連合稽古に参加する。三役クラスの上位力士を希望し、さらに強度を高める考え。「まだ1週間ある」と、初日に照準を合わせることだけを見据えた。

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