【一問一答】羽生3季ぶり王座奪還「科学的に人間は5回転まで跳べるらしい」
「フィギュアスケート・世界選手権」(1日、ヘルシンキ)
男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)5位発進の羽生結弦(22)=ANA=がフリーの世界歴代最高得点を更新する223・20点、合計321・59点で、3季ぶり2度目の王座奪還を果たした。SP2位の宇野昌磨(19)=中京大=はフリー初の200点超えとなる214・45点、合計でも初の300点超えで、羽生が持つ歴代最高記録(330・43点)に次ぐ世界歴代2位の319・31点をマークし、2位となった。
プレスカンファレンスでの羽生の一問一答は次のとおり。
-大会を終えて。
「すごくSPが終わった後、自分自身落ち込んでしまって…。なかなか立ち直ることができないぐらい落ち込んだんですけど、チームやファンの方たちが信じてくれたことが今日の演技に繋がったのかなと思います」
-ファンの盛り上がりもあった。
「フリーはわぁって盛り上がる曲ではなく、ゆったりとした曲なんですが、『頑張れ』の声が混ざった歓声を送っていただけましたし、ジャンプを跳び終えて、ステップ、スピン、最後まで鳴り止まない拍手が聞こえていた。非常にありがたかった。SPも写真で見て驚いたんですけど、海外の方も一緒になって盛り上がってくれていたみたいで、本当にここで滑ることができて幸せだった」
-若手に追いかけられる立場になって。
「追いかけられる立場とよく言われるけど、SPで分かったように、まだまだ追いかける背中がたくさんある。パトリック(チャン)やハビエル(フェルナンデス)はフリーで順位を下げてしまったけど、SP1位はハビエルだったし、3位はパトリックだった。もちろん宇野選手、ボーヤン選手、ネイサン選手という若い選手にもたくさん強い選手がいて、それぞれが僕にないもの、長所を持っている。すべてが僕にとって、追いかける背中です」
-現在のプログラムをミスなく滑ることの難しさは。
「昨季、自分がNHK杯とGPファイナルでノーミスの演技をして思ったのが、クリーンなプログラムを滑ることは非常に難しいということ。技術的な難しさではなく、精神的なものもあるし、何度も試合に合わせる体力、調整が難しい。4回転ループはまだ安心して跳べるジャンプじゃない。さらにもう1段階難しさを感じている」
-来年の五輪に繋がったものは。
「この構成、4回転を4本、トリプルアクセルを2本、コンビネーションをすべて後半にもってくる構成をまず試合でやりきる自信がついたのが大きい。ただ、SPとフリーを揃えるのが1番大事。そういう意味では五輪に繋がるのは、まず4回転4回の構成をやり遂げられた自信を持てたことと、SP、フリーを揃えるための課題が見つかったことかなと思います」
-今後、ジャンプはどこまで進化する?
「なんか、科学的なことでいえば、人間は5回転まで跳べるらしいんですよ。ただ、まだ5回転の点数(基礎点)はないですし。でも自分は4回転アクセルは跳びたいと思ってます。試合に入れるか入れないかは分からないですが。ここまで4回転の多種類時代を作ったのは彼(3位の金博洋)。彼がルッツをクリーンに跳んで、みんなが“ルッツ跳んでいいんだ”“ルッツで人間跳べるんだ”ってなった。目指すべきところは僕の(世界記録の)330点だったりしたかもしれないけど、この4回転多種類時代を作ったのは、彼だと思います」