稀勢の里、強行出場の決断理由を明かす「やれるという気持ちを持ってやった」

 大相撲春場所(26日千秋楽)で終盤に左肩周辺を負傷しながら、大関照ノ富士との優勝決定戦を制し、2場所連続優勝を果たした新横綱稀勢の里(田子ノ浦)が、29日放送のNHKテレビ「新横綱稀勢の里 激闘の15日間」にVTR出演し、単独インタビューに答えた。

 番組ではインタビューが千秋楽当日、26日の優勝直後に収録されたことを紹介。冒頭で稀勢の里の「力を出し切ろうと思った。やれることはやろう。一生懸命自分を信じて相撲を取り続けて、稽古を続けてきてよかった。間違いなかったと思った」という言葉が流された。

 また、初日から12連勝と優勝争いをリードしながら、13日目に日馬富士との横綱対決で敗れた際に土俵下で左肩付近を強打した直後、支度部屋では付け人たちが走り回り、稀勢の里は救急車で病院へ向かったシーン。その病院で田子ノ浦親方が見せた表情や、翌朝の部屋の様子などをたどった。

 だれもが14日目以降の休場を予測する中で、強行出場に踏み切った稀勢の里は、相撲を取れる状態じゃなかったのでは?の問いに「土俵の…うん、まあ、やれることだけやりましたよ(ケガした)その日の夜も、次の日の夜も。それで朝よかったから出場しました」と明かしながら、「やれること」の具体的な内容については「それは言わないけどね、フフフ、いろいろやりました」と笑顔で話した。

 出場を決めた理由については「(14日目の)朝、痛みもほぼなかったので…やれるという気持ちを持ってやった」と説明。また、負傷箇所の悪化により力士人生に影響する不安は?と問われると「やるって決めた以上はやるんじゃないですか。そういう気持ちを持っていた」と答えた。

 負傷直後の緊迫感から、インタビュアーは「半年くらい相撲を取れないんじゃないかと思ったが」と振ると、稀勢の里は「救急車に乗ったからそういうふうに見られたけど」と再び笑顔を見せ、「その後は動けたから正直、大丈夫だと思った」と振り返った。

 出場を決めた14日目にはテーピングを施しての土俵入り時に拍手歓声が湧いた。しかし、鶴竜戦は力なく寄り切られ横綱戦連敗。それでも、2敗で迎えた千秋楽では1敗の照ノ富士との本割で勝ち、優勝決定戦にも連勝した。稀勢の里は「やれることだけはやろう。動かせるところだけでやろう。足は元気だから足でなんとかしよう」などと思い起こしながら、照ノ富士との2番を振り返った。

 表彰式の君が代斉唱時に見せた涙。「スミマセン、今回は泣かないと決めたんですけど…」と残した名言。インタビューの最後に稀勢の里は、「ケガして勝って喜んでもらったが、万全の状態で勝つのが僕の務め。しっかり体をつくっていきたい。これをプラスに考えて、強くなるきっかけになれば。(土俵の上で横綱として立ち続けること)それが僕の使命」と、真の強さを求めていく姿勢を示していた。

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