横綱・稀勢の里、口上も相撲道もまっすぐに 目指すは「来場所優勝」

 口上を述べる稀勢の里
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 大相撲初場所で初優勝した大関稀勢の里(30)=田子ノ浦=の第72代横綱昇進が25日、正式に決定した。日本相撲協会が都内の両国国技館で春場所(3月12日初日・エディオンアリーナ大阪)の番付編成会議後に臨時理事会を開き、満場一致で決めた。昇進伝達式は都内のホテルで行われ、1998年夏場所後の3代目若乃花以来19年ぶりに誕生した日本出身横綱は宣言通りのシンプルな口上。「ちょっと噛(か)んだ」ところにも新横綱の愚直で不器用な人柄が表れていた。

 真っすぐな稀勢の里の性格が存分ににじみ出る口上だった。「謹んでお受け致します。横綱の名っ、は、恥じぬように精進致します。本日はありがとうございました」。晴れの舞台。突っ込む者はいない。しかし、うそはつけない男だ。会見でデキを問われると「ちょっとかんでしまった」と笑わせた。

 98年の3代目若乃花以来、19年ぶり日本出身横綱誕生の日は異例の盛り上がりだった。通常、部屋で行う伝達式は注目度を考慮され、都内の高級ホテルに変更。テレビカメラ12台、報道陣約150人が早朝から詰めかけた。

 午前9時25分、使者の春日野理事(元関脇栃乃和歌)、高田川審判委員(元関脇安芸乃島)が到着。満場一致での推挙を伝えられ、さらに過去に例がない「自分の相撲道にまい進してさらに努力して下さい」という期待を込めた一文が付け加えられた。

 そんな異様な緊張の中、前日「自分の気持ちそのまま。特別な言葉はいらない」と語った通り、愚直一本を貫いた口上はまさに稀勢の里の生きざま。実は大関昇進時の口上も「大関の名を汚さぬよう、精進します」だった。

 第65代の貴乃花以降、定番化していた「四字熟語」は盛り込まなかった。周りから助言もあったが「最終的にシンプル」になった。父・萩原貞彦さん(71)は「周りに言われ過ぎたのかな。ひねたとこあるから」と愛息を思いやった。

 第72代横綱誕生。11年11月に急逝した先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)と同じく30歳を超えての昇進。「稽古場で言われたのも『横綱になったら見える景色が違う。横綱になったら分かるものがある』と。見えてくるように成長していきたい」と師から教わった道を追う。

 17年ぶりの4横綱時代。他の横綱より勝る部分は「体重?」とジョークを飛ばした後、「自分は前に出る力。それを磨き続けて横綱にも上がってきましたから」と胸を張った。宿敵となり続けた白鵬にも遠慮はしない。「もっと稽古して倒していかないといけない相手と思っている」と果たし状。次の目標は「来場所の優勝」と力強く言い切った。

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