悲願初V&綱とりへ 稀勢の里完勝発進
「大相撲名古屋場所初日」(10日、愛知県体育館)
大関稀勢の里(30)=田子ノ浦=が初顔合わせの御嶽海を寄り切り、悲願の初優勝&綱とりへ好スタートを切った。自身の持つ歴代最多を更新する38回目の優勝を目指す横綱白鵬は高安を寄り切り、史上3人目の通算勝ち星1000勝へもあと12勝とした。横綱日馬富士、鶴竜も白星発進。かど番の大関照ノ富士は隠岐の海を寄り切って先場所からの連敗を13で止めたが、豪栄道、琴奨菊は黒星発進となった。
綱への第1関門を難なく突破した。稀勢の里は立ち合い鋭く踏み込んで、自分得意の左を差すと、あわてずに腕(かいな)を返して御嶽海の体を起こし、右上手を引いて一気に寄り切った。
相手は23歳の若武者で初顔合わせだったが、まったく問題にしなかった。大関昇進後、初顔にはこれで18勝2敗。無類の強さを示すデータ通りの圧勝に、館内には「稀勢の里コール」も沸き上がった。「(コールは)ありがたいこと。思い切っていった。立ち合いは初日にしてはいい。いい流れだったんじゃないですか」と、30歳になって初めての白星をかみしめた。
先場所に続き今場所が自身4度目の綱とり場所。これまでは重圧がかかる一番で精神面の弱さが顔を出したが、先場所から心の成長が著しい。この日の朝稽古でも「いい感じでやれるという状態に持ってこれた。気持ち的にも非常にいい」と冷静で、取組前には控えで“ほほ笑む”余裕も見せた。
今場所の横綱昇進条件はズバリ初優勝。先場所まで2場所連続で13勝を挙げており、審判部は今場所12勝止まりでも優勝すれば横綱に推挙する方向で、滑り出しは順調だ。「状態はいい。しっかり集中していく」。2日目は過去8勝無敗と合口がいい魁聖が相手。98年の3代目若乃花以来となる日本人横綱誕生へ、2連勝で一気に軌道に乗る。



