マラソン代表残り2枠は“消去法”選考

 「びわ湖毎日マラソン兼世界選手権代表選考会」(1日、皇子山陸上競技場発着)

 15年世界選手権(8月・中国、北京)代表選考会を兼ねて行われ、ナショナルチームの前田和浩(33)=九電工=が2時間11分46秒で日本人トップの4位に入り、2大会連続の代表入りに可能性を残した。冷たい雨の降りしきる悪条件の中とはいえ、順位、タイムとも低調。2月の東京マラソンで2時間7分台をマークした今井正人(トヨタ自動車九州)は当確だが、残り2枠を巡る選考は各選手決め手を欠き、“消去法”での選出を余儀なくされることになった。

 ゴールした選手たちが寒さに震えながら控え室に消えていく。10度を下回る低気温に、降りしきる雨、中盤からの向かい風と悪条件がそろったのは確かだった。ただ、それでも日本人トップの前田が2時間11分台後半で、表彰台すら乗れなかった内容に、失望感が漂った。

 日本陸上連盟の幹部からも厳しい声が相次いだ。尾縣貢専務理事が「タフな条件の中で健闘したが、結果は厳しいものだった」と辛口で話せば、宗猛男子マラソン部長は「非常に寒かったが、レース内容も寒かった」と、バッサリ。これで男子の世界選手権代表選考レースはすべて終了したが、東京マラソンで日本人3年ぶりの2時間7分台をマークした今井を除けば、厳しい結果が並んだ。

 8分台の選手はおらず、主要な3つの選考会(福岡、東京、びわ湖)で表彰台に上った日本人はいない。残る2枠は、ともに2時間9分台だった福岡で日本人1位(全体4位)の藤原正和、東京で日本人2位(全体9位)の佐野広明(ともにホンダ)、そして前田が争うことになるが「今井が頭1つ抜けて、あとは似かよった結果」と、宗部長。今回の世界選手権から各国の最大派遣枠が5から3に減らされたが、低いレベルでの“消去法”でその3枠を埋めるのがやっとの状況だ。

 また、3つの選考会の日本人トップが33歳の藤原(福岡)と前田(びわ湖)、30歳の今井(東京)と全員が30歳以上だったのも気掛かりだ。総括で尾縣貢専務理事は「底上げはできていると思っているが、若手のトップランナーがうまくマラソンに転向するためにどうしたらいいか、頭を痛めているところ」と、こぼした。東京で2度目のマラソン挑戦で20位に終わった日本選手権1万メートル4連覇の佐藤悠基(28)=日清食品=、福岡国際で9位、びわ湖で26位に終わった宇賀地強(コニカミノルタ)とトラックで日本屈指のスピードを見せてきた選手たちに、マラソンの壁にぶつかり、結果を残せていない。16年リオデジャネイロ五輪、20年東京五輪に向け、不安は募る。

 東京での今井の好走からわずか1週間。日本男子マラソンの厳しい現実が露呈した。

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