竹田理事長「人生懸けた」親子の夢結実

 国際オリンピック委員会(IOC)は7日、ブエノスアイレスで総会を開き、2020年夏季五輪の開催都市に東京を選んだ。IOC委員の投票でイスタンブール、マドリードを大差で破り、1964年の第18回大会以来となる開催を決めた。

 夢は亡き父から受け継いだ。明治天皇の孫で「プリンス・タケダ」と呼ばれた恒徳(つねよし)氏と親子2代でIOC委員となり、この1年で「招致の顔」として約50カ国を回った。総距離は「地球10周」に達するという。招致委員会の竹田恒和理事長(65)は「人生を懸けた戦いだった」と目を潤ませた。

 馬術に夢中だった高校時代、華やかなスポーツの祭典に目を奪われた。父が欧州の王室関係者を中心にロビー活動で駆け回り、五輪招致に尽力したことを後になって知った。「不思議な運命を感じる。父が背中を押したのかもしれない」と感慨に浸った。

 会長を務める日本オリンピック委員会(JOC)の05年の年頭あいさつで「日本に五輪を!」と呼び掛けた。しかし、16年の招致は失敗。確執があった当時の石原慎太郎都知事から「JOCがだらしない」と国際人脈の弱さを公の場で叱責された。

 情熱の原動力は政治に翻弄(ほんろう)された現役時代にある。初出場した72年ミュンヘン五輪でパレスチナ・ゲリラによる選手村襲撃事件に遭遇。引退を決意するきっかけとなったのは東西冷戦下の80年モスクワ五輪だった。日本のボイコットで出場の夢を絶たれた無念さを忘れられない。

 8月の母、光子さんの訃報を出張先のモスクワで聞いた。決戦の地、ブエノスアイレスへ旅立つ前、両親の墓に参り「五輪を必ず勝ち取ってきます」と誓った。親子2代で夢を実現させた。

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