プロの第一歩はまず「1年の流れ」を知ること

 カープの将来を背負うだろう若者たちの晴れやかな姿を見て、実に頼もしさを感じた。広島市内のホテルで行われた新人9選手の入団発表会見。それぞれが自分の言葉でプロとしての決意を口にしていた。中でもドラフト1位・中村奨(広陵)の「新人王を獲りたい」とのコメントには自信が満ちていた。実に大胆な発言だが、いいのではないか。

 今夏の甲子園で大会新記録の6本塁打を放ち、チームを準優勝に導いた。そんな大舞台で得た自信をはっきりと自分の目標として語れるあたり、大物の証しだろう。2位・山口(熊本工)や3位のケムナ(日本文理大)も、将来的な期待を抱かせる話しぶりだった。

 中村奨を含め、入って来た全選手にカープOBとして一つアドバイスするなら「プロ野球がどうやって流れているかをまず知る」ということ。今までいた高校、大学とプロでは野球環境が全く違う。何もわからない状態で球界の“最高峰”に飛び込むわけだから、不安もあるだろう。しかし、この世界がどうやって流れていくかを知れば、自分の目標が立てやすくなる。それがプロの第一歩だ。

 私自身、1994年に高校からドラフト5位で入った当初は、周りが気になり、そして気を使って日々の時間が過ぎていった。球団や監督、コーチら首脳陣から言われるままやっていただけで、そこに自分の“意志”はなかった。あの時もう少し冷静に周りを見て、自分自身も分析できていれば、と20年以上たった今でも思う。

 とはいえ、プロになった以上は他の選手との競争になる。ドラフト1位・中村奨の場合で言えば、正捕手・会沢とベテラン・石原の他、進境著しい磯村や若手のホープ・坂倉と、追い越すべき壁が高くて厚い。1年の流れを身をもって知っていく過程で、これら先輩捕手からどれだけ多くのものを吸収できるか。そしてそれをグラウンドで結果として出せるか。すでに、彼らのプロとしての戦いは始まっていると言っていい。

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