恵みの雨で“甲子園ショック”払しょくした緒方鯉

 首位を走る金本阪神に甲子園で痛恨の3連敗(5月5~7日)して以降、投壊に歯止めがかからなかったカープだったが、先週末(13~14日・マツダ)の巨人戦に連勝したことでやっと一息つけた。13日の7戦が岡田、そして14日の8戦が九里と、虎に食いちぎられた2人が白星を挙げて眼下の敵に完勝。野村以外、安定した投球ができていなかった先発陣だっただけに、緒方監督もホッとしたことだろう。

 甲子園での惨敗を引きずる形で神宮に乗り込み、ヤクルトに1勝2敗と負け越し。9日の初戦は延長12回の末に中田が代打・大松にサヨナラ弾を浴び、2戦目は鈴木の2発で勝ちはしたが、先発・大瀬良が6失点と沈没。さらに3戦目は再昇格の福井が6回6失点、高橋樹も5失点で今季ワーストの11失点と大崩れした。この時点で防御率はリーグ最下位の4・11。はっきり言ってここまで悪くなるとは思ってもみなかったが、一種の連鎖反応が起こったようにも感じる。そんな悪い流れを断ち切ってくれたのが、12日夕方から降った雨だった。

 本拠地マツダに戻っての巨人7戦。神宮から移動日なしで臨むはずだった試合は、夕方から降り出した雨が開始直前に強まり、今季初の中止となった。疲労が蓄積されていた投手陣にとってはまさに「恵みの雨」。本拠地がドームでなくて良かった-。個人的には心の中でそう思ったが、悪いコンデションで投げることを強いられたはずの先発・岡田にとっても、土曜日へのスライドはいい仕切り直しになったに違いない。5連勝中の本拠地に戻り、天候も回復した14日にマウンドに上がった岡田の投球は、実に力強かった。最速153キロの速球を主体にグイグイ巨人打線をねじ伏せていく姿には「甲子園ショック」のかけらもなかった。

 もちろん、岡田自身がうまく気持ちを切り替えたのが勝利の要因ではある。自身の開幕戦だった4月1日の阪神2戦(マツダ)も4回7四球で6失点ながら、次戦から見事に立て直した。精神的な成長力は目に見張るものがある。一方、九里も自身3連敗と後のない状況から粘り強い投球で今季3勝目をつかんだ。“GWの惨劇”はこの2人にとって今後さらに伸びて行く上で貴重な体験になったはずだ。

 一方で、大瀬良と福井の2人にはもどかしい現状をなんとか打破してもらいたい。先発として2年ぶりの白星を挙げ、先発の軸として期待され続けているのに、ここ2試合は実に不甲斐ない。変化球に頼りすぎる面があるので、もう一度速球を生かした投球の原点に立ち返ってほしい。次の登板は17日のDeNA8戦が濃厚。幸いにして本拠地で仕切り直しができる。大瀬良が本来の姿を取り戻せば、完全に“甲子園ショック”を払しょくできたと言える。

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