【侍ジャパン】奇跡“18番目の男”-運命に導かれた牧秀悟 DeNAスカウトが20年ドラフトを述懐

 第6回WBCで2度目の連覇を目指す日本代表「侍ジャパン」。侍戦士たちの原点、素顔に迫る「侍外伝」の第6回はDeNA・牧秀悟内野手(27)だ。2020年度ドラフト2位で獲得した「奇跡のドラフト」を、担当スカウトの河原隆一アマスカウトグループリーダー(54)が述懐。運命に導かれた牧のストーリーをひもとく。

 ドラフトとはタイミング、人との縁だ。2020年10月26日。河原スカウトは会場内で、固唾(かたず)をのんで見守っていた。

 この年のドラフトは早川隆久投手(早大-楽天)、佐藤輝明内野手(近大-阪神)が投打の目玉だった。DeNAはまず、本格派右腕の獲得を最優先に、明大のエースだった入江大生投手を一本釣り。単独1位指名に成功した。

 牧については「能力的には1位評価」と野手トップの位置付けだった。「広角に打てる長打力。二塁打以上が打てるのでOPS(出塁率+長打率)が稼げる。コンタクト能力が高いうえに、選球眼もいい」。担当としてほれ込んでいた河原スカウトは、会議でも牧を推した。「絶対欲しいと思っていた。活躍する姿がイメージできた」。獲得を熱望したが、この年のDeNAのウェーバー順は全体で18番目。「2位ではもう、残ってないと思った。1位で指名されるのではという見立てだった」。ところが、予期せぬドラマが生まれた。

 外れ1位で、西武が同じ右打ちの内野手である渡部健人内野手(桐蔭横浜大-前西武)、ソフトバンクが井上朋也内野手(花咲徳栄高-ソフトバンク)をそれぞれ指名。まだ、牧は残っていた。「ソフトバンクは、松田(宣浩)選手の年齢が上がってきていて、その後釜として牧にいくんじゃないかなという見立てだった。でも高校生にいったので、まさか本当に残っているとは思わなかった」。

 祈りが通じたのか、2巡目に突入し、先んじたウェーバー順の5球団から、牧の名が呼ばれることはなかった。DeNAは、牧を“18番目の男”として満を持して指名。「1位で評価していた2人を取れたドラフトだった」(河原スカウト)。運命に導かれた、まさに「奇跡」だった。

 実は伏線のごとく、ハマに縁があった。その年の3月のプロアマ交流試合で、牧を擁した中大はDeNA2軍と対戦。河原スカウトは、当時2軍監督だった三浦大輔氏に、アマ屈指の強打者として牧の事前情報を伝えていた。試合では火を噴くような痛烈な二塁打を放ち、強いインパクトを残した牧を見て、三浦氏も「いいバッターやな」と目を細めていたという。そんな同氏はその年のオフに1軍監督に昇格。牧のルーキーイヤーと同時に歩むことになるのも、何かの巡り合わせだった。

 21年は世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で外国人選手の来日が遅れ、開幕に間に合わなかった。ソト(現ロッテ)の不在で空いた一塁に抜てきされたのが、牧だった。チャンスをつかみ、新人にして一躍欠かせない戦力となった。牧秀悟とは、そんな強運を持っている男だ。

 さらに「明るいキャラクターが、ベイスターズのチームカラーや環境にも合った」と河原スカウト。IT企業を親会社とするエンタメ性豊かな風土が、陽気な牧に合致した。すぐにチームに溶けこみ、持てる素質を存分に発揮。得意のダンスを球団発信の動画やイベントでいとわず披露するなど、DeNAの宝となるべく生まれてきた、紛れもないスターだ。

 類いまれな強運を持つ背番号2。2大会連続の代表入りで、今回は大谷や鈴木、吉田のメジャー組に交じり、数少ないNPB組としてスタメンを張る。その満ちた心技体が、世界連覇へ欠かせないピースとなる。

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