鳥谷、意地見せた!八回に特大三塁打

 「WBC準決勝、日本1-3プエルトリコ」(17日、サンフランシスコ)

 絶対にあきらめない。勝利への思いをバットに託し、追撃の1点を導いた一打。打球の行方を見定め、相手守備がもたつく間に一気に三塁に滑り込んだ。結果的に敗れたが、その瞬間、確かに流れは変わった。鳥谷(阪神)の執念だった。

 3点を追った八回、1死無走者での打席だ。そこまで3打席は無安打。このままでは終われない。フルカウントからの4番手・フォンタネスの6球目、うまく体を回転させながら内角のスライダーを迷いなく振り抜く。高々と舞い上がった打球は右中間への三塁打となり、続く井端の右前適時打でホームを踏んだ。

 敗戦の中、チーム唯一の得点に絡んだ意地。戦いは終わったが、1カ月に及ぶ代表での生活は貴重な期間となった。合宿当初から本職でない二塁を任され、途中から三塁を守ることもあった。その上で、打席では初対戦の外国人投手と向かい合う日々だった。

 「(初対戦では)とにかく振って合わせていくしかない」と鳥谷。難しい状況でも積極性は失わない。8日の台湾戦、日本を救った九回2死一塁からの二盗も「(失敗のリスクは)考えなかった」という。躍動感に満ち、時に感情をむき出しにしたプレーは、見ている者の心を揺さぶった。

 「負けたのは事実です。負けはしましたけど、いいチームメートと1カ月野球ができたのは幸せだと思います」。最後は日本の1番として戦った濃密な時間。悔しさと、価値ある経験を胸に帰国し、阪神のキャプテンとしてシーズンに挑む。

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