阿部、好機に凡退…「代表引退」宣言も

 「WBC準決勝、日本1-3プエルトリコ」(17日、サンフランシスコ)

 必ず追いつく。そう信じて延長戦に備えた。試合終了直後に自軍ベンチ前で行う侍ジャパン恒例の儀式。阿部(巨人)は捕手の防具をつけたまま、声援を送り続けたスタンドに向かって深々と頭を下げた。

 「悔しかったですけど、みんな全員が精いっぱい戦いましたし、悔いはないです」

 4番として。捕手として。そして、キャプテンとして。その両肩にのしかかっていた重責を取り除かれた解放感と、目標を達成できなかった虚無感。心の中で複雑な感情が渦巻く。その声と表情は精根尽き果てていた。

 巡ってきたチャンスをすべて逸した。1点を追う四回2死二塁。1点を追う六回2死三塁。2点を追う八回2死二塁。得点圏に走者を置いた場面で凡打を繰り返した。「必死にやった結果なんでしょうがない」。自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

 国際経験は豊富。しかし、いい思い出ばかりじゃなかった。04年シドニー五輪と08年北京五輪はいずれも最後の打者となり、メダルを逸した。そして、今大会も…。

 「日本の将来のためにもどんどん若い子が出てプレーしてもらいたい。それによってプロ野球界のレベルアップがはかれると思う。たぶん、次は僕はもうないと思っている。そういう機会があったら陰ながら応援できればと思っています」。

 右膝の痛みに苦しんだ今大会。今月20日で34歳になる日本最強捕手による、突然の『代表引退宣言』だった。

 未練がないと言えばうそになる。「一戦一戦やるごとにチームになっていきましたし、やっと一体になってきたところで終わるのは残念。すごくいいチームだったと思う」。チームの成長を実感できたのはキャプテン冥利(みょうり)に尽きた。

 もう日の丸を背負うことはない。「みんなで胸を張って帰りたいと思います」。阿部がキャプテンとして引っ張ってきた侍ジャパンは19日午後、日本に到着する。

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