四国の厳しい夏を乗り越えて-道産子が目指す正捕手への道

 【徳島・生田雄也捕手】文=高田博史

 生田雄也が故郷・北海道以外の地で夏を過ごすのは、甲子園に出場した5年前以来になる。

 当時、関西の暑さにやられて体重が5キロも落ちた。初めて過ごす徳島の夏にも、だいぶ苦しんでいるようだ。

 「毎日キツいです。暑さとの戦いです。ご飯はキツくても食べるようにしています」

 愛媛・宇和島でのナイター後なら、徳島に到着するのは午前1時半を過ぎる。バスのなかで食事を取り、帰ってきてから再びゼリーなどの栄養補助食品を取るようにしている。そうでもしないと体重が落ちる。

 開幕前、85キロあった体重が、前期の2カ月間だけで8キロ落ちた。睡眠時間を確保しようとして、食事を取ることを怠ったためだ。どんどん体が小さくなっていった。

 「打球も飛ばなくなって、キレもなくなって。体の強さ、体力ってすごく大事だなって思いました。5月中盤になってくるともう、全然自分のパフォーマンスが出せなかったです」

 6、7月の中断期間にしっかりトレーニングを続け、84キロまで戻した。

 昨年のドラフトで候補に挙がったが吉報は届かず、野球に区切りを付けるつもりだった。就職が決まりかけていたころ、母校・旭川工の佐藤桂一前監督からアイランドリーグ挑戦を勧められた。チャンスはまだある。四国へ行くことを決めた。

 実戦で経験値を積みながら、チーム内では垂井佑樹との競争が続く。正捕手は固定されておらず、その日によって先発マスクが代わる。課題は「全部」と話す。

 「テツさん(駒居鉄平コーチ)から『お前は全部。やらなきゃいけないこと、たくさんあるぞ!』って言われて前期が終わりました」

 目指すのは打てる捕手だ。対巨人後期2回戦(18日、JAバンク徳島)、うまく変化球を拾って右前安打を放った。打率3割に「乗せたい」ではなく「絶対、乗せないとダメ」と言う。

 「常にドラフトを意識して、自分に厳しく。あと野球できる期間は2カ月ないので、自分をいじめ抜きたいと思います」

 暑く苦しい四国の夏を乗り越えて--。

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