元香川・竹田ラストイヤー悔いなし「自分の実力の限界に気付いた」

 【元香川・竹田隼人投手】=文・高田博史

 ちょうど昨年の今ごろ、竹田隼人は退団するかどうか、悩んでいた。

 3年目のシーズンとなった2015年、肩をケガしながら挙げた6勝は、チーム最多、リーグ3位タイの数字である。もうちょっとできるんじゃないか。迷いながらも現役続行を決める。

 「シーズンに入る前から『ラスト1年』って決めてましたね。どんな結果であろうと」

 これが最後。そんな気持ちで臨んだ4年目は、練習生からのスタートとなる。5月に選手登録されたが、前期は0勝2敗に終わり、昨年招集された北米遠征メンバーからも漏れた。

 遠征に帯同できないということは、2カ月の間、ほとんど実戦から遠ざかってしまうことを意味する。7月31日からの後期リーグ戦、そして夏場の連戦に耐えられる体づくりのため、冬場のように追い込む練習を続けた。

 後期が始まり、常に焦っているような不安がある。だが、これまでの先発に代わり、中継ぎ、抑えを務めたことが転機となる。

 「野球していて一番楽しかった。1イニングに懸ける準備であったり、ほんまに野球やっとる感じがして。もっと早くこの位置で勝負したかったなという気持ちはありますね」

 1試合、1試合を大事に。残りの試合を惜しむように数えながら、マウンドに登る。後期だけなら防御率は1・50を残している。

 「野球はやめたくなかったですけど、もうムリだなと。結果もそうですし、自分の実力の限界に気付いたというか、もう一回やってみようと思えなかった。悔いはないです」

 同い年で仲の良い元香川・篠原慎平(巨人育成)には、引退することを直接伝えている。13年秋、篠原が野球人生を終えかけたとき「もったいない!」と言って止めたのは竹田だった。

 いま、育成選手からはい上がろうとしている姿に、自分の夢を重ねる。

 「アイランドリーグは、野球を辞めさせてくれた場所でした」

 4年間の半分は、ケガとの闘いだったと言っていい。故郷・広島で一般企業に勤める、新たな人生が始まる。

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