ミスター・ガイナーズ万感あいさつ…
【第2の人生へプレーボール~香川・国本和俊内野手】
昨年11月19日、香川がスポンサー、ファンに向けて行った「シーズン御礼報告会」で思いがけないサプライズがあった。会の終盤、選手代表あいさつを行おうとしていた国本和俊に、球団より感謝状と花束が。球団後援会より金一封が贈られている。あいさつをする声が「8年間…」と言って、少し途切れた。
「8年間、応援して下さって。こんな僕を愛してくれた皆さんに、本当に感謝します。本当にありがとうございました」
チャンスの場面になる度にスタンドの応援団から掛けられてきた「せーの!クーニー!」という応援コールが、惜別のコールとなって3度、会場中に響き渡った。
06年入団のアイランドリーガー、最後の1人である。それだけではない。8年間で出場試合数、安打、本塁打、打点の4部門で通算1位となる成績を残している。
だが・350を残した11年を境に、12年は打率3割を割り込む。昨季も7月終了時で・220と低迷していた。
「ここ2年ぐらいで一気に調子が落ちてきて。『打てる!』と思ったボールが打てなかったり、感覚のズレというのが」
しかし8月に一気に巻き返し、2度目の月間MVPを受賞した。最終打率・282を残してシーズンを終えた。
「僕のなかで8月のMVPはすごく大きいんですよね。ホントにもう打てることはないんかなぁと自信を失いかけてたときに、意地もありましたし。『このまま終わりたくない!』という気持ちのなかで獲れたことで、野球を嫌いにならなくて済んだ」
最後の2年間は主将としてチームをけん引した。5度の総合優勝、3度の日本一を知る『ミスター・ガイナーズ』と呼ばれた男が、また1人グラウンドを去って行った。
