世代交代…台湾新旧ビッグスリーの進退

 台湾プロ野球も、春季キャンプに突入。今季は統一ライオンズの監督に、郭泰源前ヘッド兼投手コーチが昇格するなど、オフの人事に話題が集まっていた。なかでも台湾の新旧ビッグスリーの進退は、彼の地のプロ野球の世代交代を思わせる動きでもあった。

 まずはラミゴ・モンキースの主砲で台湾代表の看板打者でもある林智勝内野手が、FAで中信兄弟に移籍したこと。年俸は公称720万台湾ドル(約2300万円)とされるが、球界関係者の間では倍の1200台湾ドル(約4000万円)という金額がもっぱらだ。これが台湾球界最高額。他国に比べてこの最高額が安いかどうかは、見方によってさまざまではあるが、いずれにしても“球界の顔”が最高待遇でチームを移したことは重い。実をいえば林智勝の関係者は、秋の時点でNPBのいくつかの球団に売り込みをかけていた。しかしNPBサイドの感触は今ひとつ。ネックは林智勝の遊撃手としての守備だった。

 「一塁か、指名打者なら考えないこともない」。そんな評価に林サイドは嫌気をさし、台湾球界残留を決めたという。韓国メディアの一部では、「韓国球団にも売り込んでいた」とされる。ちなみに中信兄弟は、義大ライノスからもFAで鄭達鴻捕手を獲得した。一発はないが昨季の打率・334を残した左打者。この2選手の補強はラミゴ全盛の近年、老舗球団たる兄弟の復権をかけたものともいえる。

 他方、ふたりのベテラン打者の去就は対照的だ。ひとりは陳金鋒外野手。2002年に台湾人野手として初のメジャーリーガーとなり、06年に台湾球界に戻ってきた“レジェンド”。しかし38歳の衰えとアメリカ時代からの故障で身体を痛めているため、近年は満足に働けていない。昨季の出場も公式戦の三分の一にすぎない43試合にとどまり、打率・138。FA宣言したものの他球団からの声はかからず、結局、ラミゴに残留。ただ今季を持って引退することも同時に発表した。球団としては“現在の台湾球界の顔”を兄弟に譲ったが、“かつての顔”には花道を作ったということか。昨季も陳金鋒が代打で登場すると、スタンドの空気が一変していた。今季はラストイヤーとして、おそらくは多くのファンが彼の一打席ごとに注視し、余韻を味わっていくことだろう。

 一方、もうひとりのレジェンドともいえる張泰山内野手は、統一から戦力外となっても現役の希望を捨てていない。台湾プロ野球初の2000安打達成(昨季まで2134安打)。本塁打王3回、打点王4回、289本塁打、1338打点はいずれも歴代最多記録だ。今年40歳になるが勝負強さとバットコントロールに衰えはなく、代打でなら十分に戦力となる。だが本人はスタメン出場にこだわり、統一から出ることとなった。さすがに他チームからの声もかからず、台湾の一部報道では日本の独立リーグからの打診があったとも報じられている。どこであれ、プレーし続けられる場があることを望みたい。

 移る者、残る者、そして出る者。台湾の公式戦開幕は3月19日。3人はどのようなその日を迎えることだろう。

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