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阪神が菅野を強行指名していたら…入団の可能性「0」ではなかった

 巨人の菅野智之と言えば、現在プロ野球を代表する投手だ。アマチュア時代は、伯父である元巨人監督の原辰徳氏を追いかけるように、東海大相模から東海大へと進学。当時から世代ナンバーワンの投手として騒がれていたが、日本ハムの指名を拒否するなど紆余(うよ)曲折を経ての巨人入りだった。現在AbemaTV東京六大学野球中継の解説を担当している元阪神の菊地敏幸スカウトにとっても、菅野の存在は身近であり、特別だった。

  ◇  ◇

 実は菅野が中学生の時、1度だけ見たことがあるんです。というのも菅野の実家と、私の家が同じ相模原市内で、菅野が野球部に所属していた新町中学は私の家から徒歩10分のところにありました。ある日、その中学校の近くを歩いていると、菅野の祖父で、原辰徳さんのお父さんである原貢さんが観戦していました。マウンドでは菅野が投げていたみたいですが、菅野の印象よりも貢さんが「何やってんだ」と大声を出して声援を送っていたのが印象的でした。

 東海大相模時代の菅野の印象はないです。最初から東海大へ進学が決まっていたのがあったので。大学では才能が大きく開花しました。能力はその世代で間違いなくナンバーワン。ただ当時の巨人は原辰徳監督で、巨人以外は行かないということになっていたので、阪神としては「巨人に行って下さい」という感じでした。

 ただ、2011年度のドラフト会議で、巨人とともに指名した日本ハムが、抽選の末、交渉権を獲得しました。そのドラフト会議の直前、日本ハムの山田GM(当時)とエレベーターで一緒になった時に「日本ハムは誰に行くんですか」と声を掛けたら「楽しみに見ていて」と言われて。ふたを開けたら菅野ですから、すごいなと思いました。

 日本ハムはドラフト1位獲得の方針として、その年の一番いい選手というのがあります。たとえ厳しい交渉になるのは分かっていても毎年指名しています。巨人のフロントや貢さんも菅野を指名した日本ハムを怒っていましたが、方針を貫く姿勢は同業者ながら素晴らしいと感じました。

 話は横にそれましたが、菅野は日本ハムの指名を拒否し、浪人して翌年の巨人の指名を待ちました。もうムードは「巨人が菅野一本釣り」という感じでした。その2012年、阪神は甲子園春夏連覇を達成した大阪桐蔭の藤浪への指名で固まっていました。しかし8月頃でしたでしょうか、私は阪神の南球団社長(当時)のところへ「即戦力のナンバーワンは菅野です」とダメ元でお願いに行きました。前年の日本ハムの姿に刺激を受けたこともあり、少しでも阪神が菅野に行くぞというのを巨人に見せたかったという思いもありました。

 結局「阪神が藤浪に行かないとおかしいだろ」と諭されましたが、あの年に藤浪がいなかったら、どうなっていたかなと今でも考えます。阪神が菅野を強行指名していたら、個人的には5%くらい入団する可能性はあったと思っています。実は昔、貢さんと病院の待合室でばったり会い、あいさつに行くと、30分くらい長話をさせてもらいました。それ以来、親しくさせてもらい、私のことを気に入ってくれていました。

 指名できなかったことは残念です。ただ、現在の巨人で菅野の活躍を見ていると、私の眼は間違いなかったと思います。

 ◆菊地敏幸(きくち・としゆき)1950年生まれ。法政二から芝浦工大を経てリッカー。ポジションは捕手。89年にスカウトして阪神入団。藪、井川、鳥谷らを担当。13年限りで退団した。今年から「AbemaTV」で東京六大学野球リーグの解説を担当。

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